第9話

酒だ!酒だ!酒だ!


身体が喜んでいる命が悦んでいる魂が慶んでいる


命より魂が先だ肉体的な命より空想的な魂が崇高だ


何はともあれ酒だ!久方振りの酒だ!

カランと鳴る氷に耳が安らぐ、透明感のある美しい錆色に心が踊る、ぼやける景色に魂が歓喜を伝える


酒だ酒だ酒だ

これがないと生きていられないというよりこれのために生きている!

あまり健康的でないと言われるかもしれないが自分にとってはこれより健康で喜ばしい夢はないといえる

酒だ

命の薬だ酔えることは生きていないと出来ないから内臓が悲鳴を上げるが心は甘露に打ち震える


酒だ

禁酒をしてもストレスは感じなかった、酒をのみたいと思っても酒を飲まないとやっていられないという気持ちはどこかに消えていた


酒だ!

アルコールはダウナー系の成分だ、でもここまで高揚するのだ、けどその後決まって堕ちるのだ


酒!何より酒だ!

1口飲む度に文字が生まれる、1口味わう度に脳が震える、1口転がすだけで活力が湧いてくる


記憶を飛ばすのはもったいない

酒を飲んで忘れたい記憶も確かにあるが、それを形作るのもまた自分だ!自分がいなければ私は酒を飲むことも出来ず、この味を知ることもなかった


酒酒酒だ!

何より酒だ!アルコールだ!人類の叡知だ!自然の神秘だ!


酒酒酒、ぼくより先に生まれてきてくれてありがとう!今日も悦びの産声をあげる


乾杯だ!

完敗だ!

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