短編、詩
燐裕嗣
詩、詰め合わせ
光をなくした。
何も見えなくて、何も出来なくて、
どうしようもなかった。
導きを求めていた。
歩けもしないのに、闇の中を走ろうとして
転んだ。
光が差した。
外へ繋がる扉を開けてくれたのは、貴方でした。
【ありがとう】
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くるくる笑う、君は言う
「ほら、貴方も笑おうよ」
くるくる笑う、君に聞く
「何がそんなに楽しいの?」
くるくる笑う、君は言う
「全部」
くるくる
くるくる
目が回る
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言うこと聞かぬ 暴れ馬
手綱を離せば どこへやら
通った後は 甚大被害
しかし 抑えっぱなしは 難しい
耐え切れなければ 墜ちてしまう
墜ちてしまえば 戻れない
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りーん……
りーん……
鈴虫の声。
暦の上ではもう秋だってさ。
涼しい風に呼ばれて
窓の外を覗けば
「まだ眠らないのかい?」
月が首を傾げた。
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『Life Work』
少年は描き続けた。
彼の描いたものはまるで生きているようだ。
人々の言葉は本物になった。
絵が、紙から抜け出した。
途端に人々は少年を恐れ出した。
怖くなって、彼から腕を奪ってしまった。
それでも描きたくて、描きたくて。
腕を失った少年は、
足を使って描き続けた。
手で描いていた時ほど上手くはないが、
それでも立派な絵画として完成させた。
人々はまた絵が這い出してくるのではないかと恐れていた。
怖くなって、彼から脚も奪ってしまった。
それでも描きたくて、描きたくて。
脚も失った少年は、
絵筆を口にくわえて描き続けた。
食事よりも、睡眠よりも、
絵を描くことを優先した。
描き続けなければ存在出来ないような気さえした。
何日も不眠不休で描き続け、
だんだん彼の体力は衰えていった。
それでも描きたくて、描きたくて。
彼は全てを持って行く事にした。
小さな部屋の片隅でひっそりと消えた命の灯は、やがて世界を覆う炎となり、
永い間、人々を照らし続けた。
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『歌えない歌姫』
歌えない歌姫
籠の中から逃げ出した
祭りは盛り
街にはこんなに歌が溢れているのに
どうして私は歌えないのでしょう
外へ
広い世界で歌いたい
ずっと願ってきた事なのに
出られたのは
歌えなくなってから。
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羽、好きです。
光のある絵も好きです。
色と滲みが重なって、作り出される柔らかさと光。
憧れはいつもそこにあるけど、手が届くことは決してない。
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一晩で 家を作り上げた蜘蛛
一瞬で壊した 人間
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目覚めたばかりで自分の無力さを思い知らされ、僕は待つことしか出来なかった。
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はらはらほろり、雨のち曇り。
泣きたい訳じゃなかったのに、
零れる滴はとめどなく。
はらはらほろり、雨のち晴れ。
願うのはいつもキミのこと。
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『うそつき』
好きでもないものを「好き」だと言って、
嫌いなものを「好き」だと言って、
そこに自分の「ホント」はない。
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