自称縁結び♡の神様が強引すぎる

加藤ゆたか

プロローグ

 ここは私たちの町の遠くない未来。

 道ばたで一人の幼い少女が駆け出すと、犬型のロボットがその後を追う。

 少女が嬉しそうに見た空は、雲一つなく、虹色に輝いている。


「お父さん、お母さん! 早く、早く!」


 少女は振り向いて大きく手を振ったが、少女の両親であろう男女はまだだいぶ後ろの方を歩いていた。

 どうやら少女ははやる気持ちを抑えきれず、一人でどんどん先に進んでいってしまっていたらしい。少女は立ち止まって両親が自分に追いつくのを待ちつつも、変わらずのんびりと歩いてくる両親に苛立ちを隠せなかった。

 少女は同じ場所をグルグルと回りながら訴える。


「もぅ! 早く、早く!」

 

 今日、久しぶりに会えるのに。

 この虹色の空は今日も自分を歓迎しているに違いないのに。

 犬型のロボットだけは利口にも少女の邪魔にならないように、少し離れたところで少女を見守っていた。

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