第11話 ガドの願い
ちっちゃいまなとあいを見たサエの表情は輝いた。
「かわいいーー」
「こ、こらーー、足をひっぱるなーー」
サエがまなの足をもって持ち上げた。
セーラー服のまなは逆さ吊りの形になりスカートが……。
「ガドめ、見ると思ったわ」
俺はばあさんと目があった。
このババア、スカートの中にジャージを履いてやあがった。
あいの目から光が無くなった。
「ガドはまあまあ頑張っている。ご褒美に見せてやっても良かったのじゃがのー」
「いやいや、ばあさんのはいい、あいので頼む」
あいの目からさらに光が消えた。
「まあ、冗談はさておき、ガドお前はよくやっておる。なにか一つ願いを叶えてやる、言って見よ」
何だこの流れ、俺のぼけをまっているのか。
「じゃ、じゃあ、ぱ、じゃねえ、あいの、ぱ、ぱ、パンティーを」
「いい加減にしろーーー」
あいのパンチが飛んできた。
「まあ、冗談はさておき、本当になんでもいいのか」
「なんでもよい」
「さえを治してやってくれ」
「えっ、えーーっ」
サエが驚いている。
俺の言ったことに驚いているだけではない。
すでに全身の痛みが消え、体調が良くなった事に驚いていた。
「ガド、言っておくが、治癒とは魔力を多く必要とする。多用はできない。魔力が無くなればどうなるかわかっておるな」
「ああ、ばあさんの魔力が無くなれば、俺もあいも死ぬ事になる。わかっているさ」
「ここの連中はもう出発したが、サエはどうする。ここの者達と一緒は気まずかろう」
「え、あ、はい」
「ガド、向こうへ五分ぐらいの所にも避難民がいる。サエを連れて行ってやれ」
「ああ、わかった」
サエを抱えてテントを出ると、校庭に大きく白い字でSOSと書いてあった。
これなら上空のヘリコプターからでも見えるだろう。
ここの避難民の思いやりを感じた。
ばあさんの指示した方向へ走っていると、天井の落ちているコンビニがあった。
「サエ、ちょっと物資の補給だ。俺が屋根を持ち上げる。ささっと物資をとってきてくれ」
バリバリ、ガタガタ
音と供に潰れた天井が浮き上がった。
「おーーい。まだかーー」
女ってやつは、こんな時でもショッピングを楽しむのかー、遅い。
「ごめんなさいもう少し、ふー、お待たせしました。すごいわねガドさん、一人でコンビニの天井を持ち上げるなんて、ギリシャの英雄ヘラクレスみたい」
外に出て驚いた、食品や、日用品が大量に外に運び出されていた。
「こんなに持てないだろう」
「うふふ、中にあったら、誰も取れないけど外にあれば、誰でも持っていけるでしょ」
「そうか」
「ダンボール箱一つなら大丈夫ですか?」
「ああ」
「ありがとう。お土産を持っていけば、仲良くしてもらえるかな?」
「サエは美人だから大丈夫だろう」
「あら、寄って来るのは、ガドさんみたいなエッチな人ばかりですよ。くすくす」
サエが楽しそうに笑っているが、俺に密着している為、ダンボールもサエの笑顔も透明になっていて、何も見え無っかった。
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