〈間奏曲〉30年前 秘密工場前の攻防
キューーーーン……ジュバッ!
空間自体を切り裂くような不気味な音がしたと思うと、その裏に隠れていた人間もろともコンクリートの壁が溶解し、大きな穴がぽっかりと口を開けた。
「ちい!なんだあのデタラメな武器は!?」
「遮蔽物の意味が無いじゃないか!このままじゃ全滅だぞ!」
「荷電粒子ライフル……まさか完成していたとは。」
インテルフィン率いるイルカの軍隊が密かに準備していた最新兵器を押さえるため、共存派の部隊は秘密工場に迫っていた。場所を突き止め、総攻撃をかけたものの、工場は人類が未だ到達していない技術で作られた強力な武器で武装されていた。
「ここで撤退すれば、あの武器がやつらに行き渡ってしまう。なんとしてもこの工場をつぶさねば。」
「隊長、どうやらあの武器はまだ一丁だけです。試作品を急遽投入したのでは?」
「ということは、あの高台の射手さえ排除すれば、勝機はあるか……」
「俺にやらせてください!」
精悍な顔つきをした青年が前へ歩み出た。決意に満ちた瞳には光が灯っている。
「君は、確か先週志願して入ってきた者だな。どうするつもりだ?」
「いかに強力で未知の兵器と言えど、当たらなければ問題ありません。気づかれないように近づき、この電磁警棒を使って射手を無力化します。隊長たちには今しばらく注意を引き付けてください。」
隊長と呼ばれた男が考えている間も、不気味な音がこだまし、そのたびに彼らが隠れている遮蔽物は漫画に出てくるチーズのように穴だらけになっていく。
「わかった。しかし、君がもし見つかっても助けに行くことはできない。覚悟してくれ。」
「はい!任せてください。」
青年は射手が陣取る高台を睨みつけた。
「平和を乱す悪人め!俺が正義だ!」
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