第37話婚約者side
「どうしてヘスティア様に会いに行ったの!?」
母上が泣いている。
何故こうなったのか分からない。
僕はただヘスティアと話をしたかっただけなのに……今は牢屋の中だ。
「ヴィラン、お前がヘスティアに危害を加えようとしたと聞いた。どうしてそんな事をした?」
危害?
何の事だろう?
父上も何か勘違いをしてるのか?
「危害を加えるなどしていません」
正直に答えた。
「そんな筈ないだろう!なら何故お前はココにいる!?」
父上に激昂された。
「それは分かりません」
「分からない訳ないだろう!ヘスティアの乗っている馬車を襲おうとして護衛に捕まったのだ!自分のやった事だぞ!」
「父上、誤解です。僕はヘスティアの馬車を襲っていません」
「なに……を」
「僕は馬車を止めようとしただけです」
「だから……馬の足を狙ったのか……?」
「動いている馬車を止めるには馬の足を止めないといけないでしょう?」
何を当たり前の事を聞くんだ?
運動が得意じゃない僕が走った処で馬車に追いつけるはずがない。なら、馬車を強制的に止めてしまった方がいいじゃないか。だから苦手な弓矢を頑張って練習したっていうのに……。護衛が控えているなんて知らなかった。あいつ等さえ邪魔しなければ馬車を止められてヘスティアと話ができたのに。
館に戻って数日後、スタンリー公爵家の弁護士がやってきた。
「ヴィラン・ヤルコポル伯爵子息は、今後一切スタンリー公爵家への接触を禁じます。特に、ヘスティア嬢へは“接近禁止”の処置を取らせて頂きます。なお、これらを破った場合、
一方的に喋って帰った。
あんまりだ。
僕は汚い牢屋にまで入れられたっていうのに。
何で『犯罪者』扱いされないといけないんだ!
納得できない!
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