上手い文章とは何か
最近見たWeb小説の書き方のエッセイで、PDCAを回して星をたくさん獲得しようと言うのを見ました。
2人ほど書かれていました。
PDCA、それはそれで良いと思うんです。
大量にいる作家志望の人達の中で埋もれずに目立つ為には必要なんだと思います。
実際、我々素人作家は小説を書く事と売り込みをする事を両方やるのが人気を出す為の近道だと思います。
ただそれらは商業作家さんにとっては編集さんの仕事なので、PDCAができれば人気の小説が書ける……と言うのは少し違うのでは……と思います。
就活で例えるなら、確かに、まず筆記と面接に受かるためにPDCAをしっかりとやって過去問を勉強しておく必要はあると思います。
しかし、就活の勉強だけしてても、実際に就職してからどうしたいか?が無いでは、すぐに行き詰まってしまうのでは無いでしょうか。
商業デビューした後で、作家として何を心掛けていますか?と雑誌の記者に聞かれたときも、PDCAを回して星をたくさんもらう事です……と答えるだけで良いのでしょうか。
それだけでは無い、そうなのです。
そうは言っても、今ランキング上位にいる小説なんてみんな似たり寄ったりのタイトルと内容か、短絡的に人気取りに走っているAVのタイトルみたいなやつばっかりじゃないですか!とおっしゃるそこのあなた。
その通りです。
娯楽小説、エンタメというのは大衆の為にあるので大衆が求める多数に向けて作られる物なのです。
レトロゲームの世界観ばかりなのは、ちょうどレトロゲームが懐かしいと思う世代の読者が多数を占めているからだし、AVみたいなタイトルばかりになるのは大衆がそれを求めるからです。
じゃあ結局はPDCA理論が一番合理的じゃないか……歴史は勝者が作るんだから勝たなきゃ意味ないじゃないか……とおっしゃるそこのあなた、ごもっともです。
何を書きたいか、それは自分で決めれば良いのです。
でも実際、本当にそれだけで良いのでしょうか。
一般文芸と我々素人のWeb小説なんて所詮は水と油、似て非なる別物なんですよ、と言い切るには少々気が早いのではないでしょうか。
実際、自分は何となく暇つぶしに村上春樹の小説のタイトルを今流行りのなろう系長文タイトルにしてみた所、普通に人気出そうなタイトルにできてしまいました。やはり春樹さんは凄いです。一人称視点だし。
映画とかもちゃんと元が面白いものは今風タイトルに直してもやっぱり面白そうになるんだなと思ってみたりしたのです。
結局のところ、内容をどうやって面白くするかは、どんな媒体であっても共通なのです。
そして、どう面白くするかはそれこそ人によって違うし、ことWeb小説に置いては作者にとってもわかってなくて、とりあえず読み専だった時に自分ならこうする……と言う事を思っていて実際書いてみたら人気が出た……とか、流行りの要素を色々混ぜてみたら人気が出た……とかだと、書いた本人もよく分からないままだったりするのではないでしょうか。
そこでうまく人気が出た要素を残して行って、次回作に活かすやり方をして行ったら上手く人気が出たのでそれがPDCAになっているのかもしれません。
何書いても人気が出なかったり、何書いても人気が出るレベルにまでなったら、それはそれで何が面白かったのか分からないでしょう。
そうなると自分でも書いているのが本当に面白いと思って読んでもらえているのかが分からなくなって、執筆のモチベーションが下がってエターナル小説になって行くのかもしれません。
ではどうすれば良いのでしょう。
最近、自分が心がける様にしている事があります。
それは、『五感を伝える』と言う事と、『感情を伝える』という事です。
もう一つ、エモさを伝える……も大事かなと思っているのですが、こちらは感情と同じでもあります。
また、必要によっては『欲を満たす』要素もあれば尚可ですが、欲はジャンルによって無い方が良い場合もあります。
では、一つずつ説明しましょう。
五感を伝えるというのは、特に自分はつい視覚情報に頼りがちで、見た物を描写する事に気を使いすぎてしまうのですが、それだけではなく、なるべく視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の全ての要素を言葉として入れ込む用にする事が大事だと考えるのです。
視覚だけだと、これは漫画やアニメ、実写の方が遥かに情報が多いので圧倒的に小説は不利なのです。
しかし、味覚や嗅覚、触覚に関しては漫画やアニメより小説の方がより具体的に伝えられるのです。
(聴覚に関してはアニメやら実写には勝てませんが)
例えばラーメンを食べる……だったら、お店に入った時に匂い、そして餃子を焼く音がする、箸を割る音が聞こえる。出てきたラーメンの匂い、見た目、そして口にした時の食感、そして味。
これらを全て丁寧に描写していくだけです。
うまくいけば漫画より美味しそうな描写が確実に表現できます。
そういえばスティーブン・キングはこの食べ物描写がめちゃくちゃ上手くて、スタンド・バイミーのハンバーグを食べるシーンとか、映画より原作の方が何倍も美味しそうでした。
これを逆にグロいシーンでもやれるから、グロいシーンは映画よりグロく感じるというのもあります。
次に感情を伝えるという事。
これはもちろん、主人公が感じた喜怒哀楽を具体的に描写していくという事です。
漫画だと、キャラクターの微妙な表情をうまく描き込んであれば感情を読み取る事ができますが、読む方もちゃんと汲み取ってあげないといけません。
それに対して小説であれば直接文字で説明するだけでどんな感情だって言葉で伝えられるのですから、なるべく多くの感情を揺さぶる表現をたくさん入れたら入れただけ、読者に伝わるのです。
さらに、主人公がエモさを感じる場面を作ってあげたなら、その場面では大いにエモさを感じるように表現を描写する事でカタルシスを得る事ができますね。
尚、これらは自分が苦手なのでもっと書けるようになりたくて敢えて書いてます。
五感と感情をたくさん書く……という事を気をつけるだけで、難しい地の文を書く事にこだわらなくても読者の共感を得られる良い小説が書けるのではないでしょうか?……と最近思うのです。
最後に欲を満たすという事について。
これは人間の三代欲求、食欲、性欲、睡眠欲と、承認欲求や自己実現欲求などの欲です。
もちろん言うまでもなくこれらは「食べ物系小説」「エロ展開」「レベルアップ」「レアスキル」などの要素です。
人間にとって欲望は重要な動機になりますので読者の欲望を作中で主人公が叶える展開を用意しておく事は、昨今のラノベでは自分が言うまでもなくやっている事ですね。
ただし、これを嫌う作者の方も多いので入れ込むかどうかは個人の好みで判断されていると思います。
因みに、この『五感を伝える』『感情を伝える』『エモさを伝える』『欲を満たす』を全て満遍なくを伝えるのに最も適したジャンルは、やはり「性描写」なのです。
エロ展開やらラブコメがいつの世も強いのは、こうして見るとちゃんと理由がありますね。
しかし、ちゃんと他の部分を上手くやれれば性的な要素だけで釣らなくてもいくらでも方法はある……とも言えます。
・犬を使った例で例えると……もふもふ(触覚)、イッヌを吸う(嗅覚)、私だけにめっちゃ懐いて可愛く鳴く(承認欲求と聴覚)、オフトンで一緒に寝る(睡眠欲求と自己実現欲求)
……などです。
繰り返しますが、自分はこの書き方が上手く出来ていないのでこう書けるようになりたいなと言う思いで、自分の考えを纏める意味も込めてこの文章を書いています。
いや違うな……と思われる方もいて当然だと思うので、皆さん自分なりのやり方を見つけて楽しい執筆をしていきましょう(雑なまとめ)
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