俺とドラゴンの一生
ライカ
村編
第1話 はじまり
「戦闘終了!」
ゴングの音が闘技場に響き渡る。
「勇者様、戦闘不能により挑戦者の勝利!」
審判の男は何の曇りのない顔で言った。
俺の仲間は皆、不敵な笑みを浮かべていた。
木の剣が真っ二つに切れたのを俺は跪いて見ていた。
————————————————————
「ザクザク」
雨降る中、俺は緑の生い茂る山を登っている。
雨で足場が悪く一歩踏み出しても滑って少し足が落ちる。
何処かで鳥の鳴き声がする。
馬に振り落とされたせいで頭が痛い、
徐々に斜度がキツくなり手を使って頂上に向けてよじ登っていく。
頂上の草に手が付いた。
俺は頭を崖から出し、頂上の様子を伺う。
頂上は丘のようになっている。
俺は気づいた、丘の上に
赤い鱗、赤い皮でできた大きなニ枚の翼、大きく鋭い黒い鉤爪をつけた巨大なドラゴンを見て。
俺は思わず驚いて手を離してしまい落ちそうになる。
急いで手を掛ける、そのまま一気に登り近くの木に身を潜める。
よく観察してみれば、そのドラゴンは寝ているらしく目をつぶっていた。
口からは強靭な牙が所々に出ていた。
素早く次の木、次の木へと物音を立てないようドラゴンに見つからないように移動していく。
俺は一番ドラゴンに近い木まで寄った。
雨がドラゴンにあたり滝のように流れている。よく近くで見れば赤い鱗は傷一つ無くとても綺麗な真紅の鱗だった。
俺はその美しさに少し見いったが、すぐに正気に戻り背中につけていた剣を抜く、
ついに俺は剣を構えドラゴンに斬りかかろうとした。
「ピキ」
木の枝が折れる音がした。
俺は焦ったがもう高くジャンプしていたのでそのまま斬りかかろうとした。
だが、ドラゴンは枝の音に気づいたらしく目を覚まし、すぐに俺が斬りかかろうとしているのに気づき俺をその大きな手で掴んだ。
ドラゴンはその大きな口で言った。
「あ、あな、あなたはにんげんですか?」
俺は驚いた。
捕まれ死ぬのを覚悟していた時に急にドラゴンが喋ったのだ。
ひとまずドラゴンの質問に答えた。
「ああ、人間だ、さっさと殺せよ。」
「ほ、ほんとですか?、、、あ、私別にあなたのこと殺しませんよ。」
何だか変なことをドラゴンは喋っている。
「あ、この姿怖いですよね、少し待ってください。」
ドラゴンの上に白色の見たことない魔法陣が浮かび上がり。
ドラゴンのツノから足まで降りた。
そして、ドラゴンは一気に頭にツノの生えたに赤髪美女になった。
丈の短いスカートのお姫様のような赤いドレスを着ていた。
俺は一気に五メートルぐらい落下し仰向けになった。
「あ、大丈夫ですか?人間さん?」
美女に化けたドラゴンが俺に手を差し出す。
「ああ、」
俺は思わず手をとって立ち上がる。
俺はもう一度その美女を見てまた驚く。
俺は聞いた。
「き、君は一体?」
「えーと私ドラゴンです!人間に興味のあるドラゴンです!」
そう満面の笑みで雨に打たれながら言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます