第5話

『ではオープンします!!』


①…(1人 2倍)ga1000p、gn500p

②…(2人 4倍)ge5000p

③…(3人 5倍)

④…(4人 8倍)

⑤…(以外1.5倍)gs500p


『ここはなんと言っても1回戦から5000pの勝負に出たgeさんからお話を聞きましょう』


「前回あと少しで1位を逃して悔しくてね。次は最初から大勝負しようと決めていただけなんだよ」


『前回からの流れでってことなんですね。②の2人に賭けたというのは?』


「それも特に根拠がある訳ではないよ。単に大勝負するのにオッズが低いとこに賭けてもなぁってだけ」


『わかりました。次は~そうですね、gsさんに伺いましょう』


「えっと、異世界とかよくわからないから慣れるまでは少なく賭けようかなと。それでゴブリンだっけ? 弱いってことなので死者0人と予想したわ」


『様子見するのも作戦ですね。残りのお2人には死者1人と予想した根拠を教えてください。まずはgaさんから』


「いきなり襲撃されて上手く対処できないんじゃないかなぁ。武器もないから1人ぐらい死んじゃうと思うよ!」


『なるほど~、では最後に前回1位のgnさんはいかがですか?』


「gaの見解に加えて彼らが戦いの素人だからというのが大きいかな。前々回の世界大戦を舞台にした時も新人部隊が初戦で手痛くやられていたからね。②や③と迷ったんだがゴブリン相手にそこまで犠牲は出ないだろうと読んで①と予想した」


『それでは時間を進めて結果を見てみましょう』






 夕食はカレーだった。

 なんでも明日町内会のイベントで振舞われる予定だったらしい。

 ご飯はイベント当日に近所の人が持ち込むとのことでなかったのだが、備蓄物資のアルファ化米を活用することにした。

 アルファ化米は熱湯を入れると15分ほどで食べられるご飯で味も普通のご飯と遜色ない。

 カップラーメンのご飯バージョンみたいな感じだ。

 そのアルファ化米が1000食分備蓄されている。25人なので食事40回分だ。

 だがおかずに相当するものが備蓄には何もない。

 この町内会のカレー(200食分)を1/5にして食べるしかない。


 備蓄物資にある食料は次の通りだ。

 クラッカー・…たくさん

 アルファ化米…1000食

 羊羹・・・・…400個

 ゼリー飲料・…400個

 粉ミルク・・…300本


 カレーがなくなったらこれらの非常食で食事をせねばならず果たして気力や体力が持つだろうか?

 日本の災害時には全国から支援物資が大量に届くが、それでも避難した人達は精神的に追い詰められ体調を壊し日ごとに気力を奪われていく。

 まして俺達には支援物資なんて何も届かないのだ。

 思った以上に活動限界に達するのが早いのだとしたら……

 まだ余裕のあるうちに本格的に人里なり水場を探すべきなのかもしれない。

 人……いるよな? いない可能性なんて怖くて考えたくない。



 夕食後体育コートに各自カーペットを敷き大量にある毛布を被って寝ることにした。

 アルミレスキューシートも大量にあるのだが、今の気温なら必要ないだろう。

 それと職員の4人は奥の職員用の休憩室で寝ることにしたようだ。

 若い人と寝る空間までずっと一緒というのは精神的にキツイらしい。


「こんな時間から寝るのは無理だろうが、目を閉じ横になってるだけでも違うそうなので我慢して試して欲しい。こんな状況では夜早く寝て翌朝日の出前から活動するのがもっとも効率良いだろうから早く慣れて欲しい。雑談する奴は飯抜きにするからな!!」


 部長のこの宣言と共に20時過ぎに寝床に入る。

 寝れる訳なんてないので言われた通り目を閉じて横になりじっとしている。




 ユサユサ、ユサユサ…


「オイ、起…ろ、か…くり…きろ……」


 ユサユサ! ユサユサ!


「絡繰! 起きろ!!」


 そんなに揺らすなよ……


「な、なんだ?」


「お、おまえ、何でこんな早い時間からスヤスヤ寝てるんだよ……」


 いつの間にか寝てたのか。


「知るか。近藤、まさかそんなことを聞く為に起こしたんじゃないだろうな?」


 いくら温厚な俺でもキレるぞ?


「そんなに睨むな、怖えぞ。あ! そんなことはどうでもいい、耳を澄ませて聞いてみろ」


 なんだ?


 ドンドン! ドンドン!


「出入口あたりか?」


「そうらしいな」


「トイレ行ってる間に誰かがイタズラしてカギ締めたとかか?」


 ドンドン! ドンドン! バリン!! ガシャグシャ!!


「グガァァギャァァ」「ギャゥゥゥ!」「グギャガギャァァァ」


「ガラスの割れる音か?」


「何の鳴き声??」


「いやあああああああああああ!!」


「痛い痛い痛い痛い痛い!!」


「電気を付けろ!!」


 電気が点灯すると小柄な緑色の生物が体育コート入り口付近で寝ていた女子を襲っていた。


 俺はとっさに探索の時に持っていった鉄棒を掴み緑色の生物に向かっていく。

 鉄棒はどうせ明日も探索に行かされるだろうから倉庫に仕舞わずに寝床の横に置いていたのだ。


「コイツ!!」


「ゴブリンだ!!」


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」


 阿鼻叫喚の中で俺は女子に刃物を振ろうとしている個体に鉄棒を突き刺した!!

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