同棲中の幼馴染が、めちゃくちゃ誘惑してくる件
篠宮うみ
1,俺の幼馴染が朝から可愛い
「悠真!おはよう!」
月曜日の朝とは思えないほど、元気な声が俺の部屋に響く。
「朝からうるさいぞ、小町」
「それは、何回揺すってもピクリとも動かない悠真がいけないんだよ!」
「とりあえず、朝ご飯の用意できてるから、早く顔洗ってリビングにおいで」
そう言うと、俺の幼馴染こと同居人、“白萩小町”は部屋を後にする。
月曜の朝から元気だなと思いつつ、小町に続いて俺こと、“藤咲悠真”も部屋を後にする。
去年の春から、同じ高校に通うことになった、幼馴染の小町と同棲をしている。
同棲と言っても、付き合ってるとかいうわけではない。
ただ中学校を卒業して、春休みに突入した時に、小町に一人暮らしをするという旨を伝えると『私も一緒に行く!』と言って、聞かなかったからので、渋々一緒に住むことになった。
いま考えると、なぜそのようなことを言ったのかは謎なのだが、まあいいだろう。
「もう!悠真、遅いよ!」
洗面台の前で歯を磨きながら、思い出にふけていると、リビングから小町の声が聞こえてくる。
「おーい、まだ〜?」
「わかったから、ちょっと待ってろー」
軽く返事をして、歯磨きを続行する。
しばらくすると、リビングのドアがガチャっと音を立てて開き、パタパタと足音が近づいてくる。
「もぉ〜、さすがに遅すぎるよ!いつまで一人で待たせるつもり?」
「あはは、ごめんごめん」
軽く笑いながら謝罪し、頭を撫でてやると、なんとも幸せそうな顔になり、俺に抱きついてくる。
こういう姿を見ると、可愛いらしいと思うと同時に、こんな無防備な姿を男の前で晒していいものかと心配にもなる。
「こんな姿、他の男の前では見せるなよ」
「わかってるよ〜」
「悠真にしかやらないもんっ」
「なっ?!だから、そういうのをだな…」
いきなりの耳元での、不意打ちは本当にずるいと思う。
ただでさえ、小町はかなりの美少女なのに、こんな顔して抱きつきながら、『悠真にしかやらないもん』なんて言われたら、さすがの俺でもかなり効く。
顔が赤くなっているのを誤魔化すために、小町を抱き寄せて、俺の顔が見えないようにする。
「わわっ!どうしたの!?って、あれ〜?心臓すごくバクバクしてるよ?もしかして照れちゃった〜?」
不覚だった。まさか、自分の心臓の音でバレてしまうなんて。
「ま、まさか〜、照れてないぞ!!!」
「嘘だ〜、なら、もっとすごいことしてあげようか…?」
「〜〜〜っ」
小町を解放し、急いでうがいを済ませた悠真は、声にならない叫び声をあげ、顔を手で覆いながら、小走りでリビングに入っていく。
「むぅ〜、あと、ちょっとだったのに〜」
小町は、一人残された洗面台の前で悔しそうに呟いた。
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