新垣しま子のナンセンス手帳 青春はいつだって食塩水の匂いがする編
相沢 たける
第1話
貯めた金でなに買ったっていいだろう。
だから私は新品の木刀を買うんだ。
羨ましいとか言ったって、あーげない。
なんてカワイ子ぶってみる私は、こう見えてもかなり悪い子なんだ。
そして痛い子でもある。
世間では何と呼ばれているんだろうね。
不良少女?
頭のおかしい子?
まぁいずれにせよ、的を射た表現だと思うよ。
だからさ、私の頭の中で語られていることくらい、密かに伝えたっていいじゃないか。 語られている、っていうのもちとおかしいか。
渦を巻いている、という表現の方がしっくりくるね。
のほほんと、しかし私はパンチ力のある表現ができる人間だと、自負しているよ。
でもそれは誰に認められる必要もない、自由な世界なんだ。
きっと君は、私の頭をのぞき見ることで、想像力をかき立てられることだろう。
うん、私が保証する。
あぁ、にしても眠いな。だが、眠いときこそ、私の世界は始まるんだ。
初めまして、の方もいるかもね。いっちょう自己紹介でもしておくかね。
おはよう、こんにちは、こんばんは。
私は新垣しま子。
自由を極めた者、とでも呼んでくれ。
今から始まるのは、そう、単なる言葉遊びだ。
ついてこられるかな?
ほら、よーいスタートだ。
レスリング場を掘り返したホタテ貝たちはネタ帳を振り回して、窓の外に幽霊を見た。しかし台風はライトとレフトを間違えたようで、ありきたりな勝負をワゴンセールにしてしまったのである。
組み体操を極めると水泳選手になれるという噂が学校中に広まったのはつい昨日のことであり、それを聞いたクラスのカップルは頬を赤らめた。グリア細胞のようなコウモリは、羅針盤をその手に持ちながら、インターネットの海に飛び込んでいったのだ。
それは極めて哲学的なことだった。
時計が刻む音のような臭いのするチーズケーキは、しばし穏やかに説教する。もしくは返す刀で先生に自分のえら呼吸を自慢するかだ。
発掘がなかなか進まないというので、ビリヤード台という助っ人を呼んだ。彼は火災を起こしたらどうかと提案したが、ネズミのボスにも似たリンゴアメに却下された。
階段をのぼるとそこは島国であったが、エレベーターで降りると陸上競技場であった。
橋の手すりについていた日本国憲法は、だいたいにおいて地下施設に設けられるものだ。これは全世界的に証明されていることだった。
川に流されたトイレットペーパーのようになりたくはあるまい? そうだろう。よぉくわかってきたところで、ネタばらしをしよう。実は消費税は百五十パーセントなのである。 カラスも羽を休めるというマリアナ海溝だが、実はその上空ではスズキが太陽光をエネルギー源として泳いでいるのだ。
カクテルという新しい天使が誕生した。こいつの放屁はヘビの毒に匹敵する。
トナカイのような地球儀をオーロラに向けて発射した罪で、有名ユーチューバーが逮捕された。要するに、ポーションはベホマには勝てないのだ。
新しいタイプのカステラが埋め込まれたプリンターが壊れてしまったらしい。修理屋であるテニスサークルを呼びつけたがうまくいかなかった。
いかがだっただろうか。
まさに君の頭に、直接話しかけるようなわけわからん言葉の数々が、襲いかかったんじゃないかな。
え、私は前回、こんなしゃべり方じゃなかっただろう、って?
うん、実はね、厄介なことに、私にはまた新しい人格が宿ってしまったらしいんだ。
おしとやかだろう?
君達はどっちの私の方が好きなのかな。
前の私かい? それとも、今の私かい?
だけどね、この人格が暴走するということはないみたいなんだ。
だってこれは現実の世界だ。
そして私が大事にしたいのは、さっきみたいな妄想なんだよ。
妄想って素晴らしい。
さぁ、君も一緒に、飛躍しようじゃないか。
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