第16話 ショタなライトへのマッサージ

 ある日、夕方の入浴後、魔法薬で少しショタ化したライトは、部屋に用意したベッドへ腰掛ける。


「旦那様、マッサージしてあげます」


「……お手柔らかに頼む」


 アートはいつもの浴衣から、エステティシャンの格好に着替えてきた。


 着用しているブラウスの胸元は大きく開かれ、脇の肉を寄せて作ったのか、通常よりも幾分か柔らかそうな豊胸となり、谷間が強調されるように晒されている。しかもワザと小さめのサイズを着ているのだろうか、アートの寄せた胸部はブラウスのボタンを軋ませ、その部分を少し張りつめさせていた。


 首元に巻かれたスカーフは上品なのだが、下半身を包むのは普段ではあまり見掛けないミニスカートである。黒い柄のストッキングに包まれた太ももは、付け根近くまでが丸見えで、少し屈むだけでもショーツが見えてしまいそうだった。


「それじゃあ、始めるので服を脱いで、横になって下さい。まずは背中から施術します」


「あ、ああ」


 普段と違うのでライトはやや唖然としてしまうも何とか服を脱ぎ、ベッドへうつ伏せになる。


「昔、とある女冒険者に習ったテクで、旦那様を蕩けさせてあげます。しっかり味わって下さいね?」


 耳元で囁き、裸身を晒している背中を撫でていく。その刺激にライトの身体が芯から震えた。


「ふあっ……!」


「マッサージは得意なんですよ。ギルドマスターとか、有名な冒険者、ヘビー・アームズ相手に頑張ったから」


 背中から掛けられるアートの声に耳を擽られながら、這うように指先が伝い、擽ったさが背中と腰を震わせる。


「ふぁうっっ……あっ、ア、アートッ……」


「あ、ごめんなさい。つい……ほら、オートマトンと比べると、生身の身体は違うものですから……こことか、ここも……意外と、硬い」


 肩甲骨の周り、背骨に沿った背筋、少し盛り上がっているように見える上腕筋を指先で柔らかく揉みながら、アートは艶かしい声を響かせた。女性の手で筋肉をほぐされる、その感覚に慣れないのか、ライトの四肢が怯えたように小さく跳ねる。


(ふぉぉおお。こ、これがアートの……マッサージ……しゅ、しゅっごーい……!)


 町とかの宿にあるサービスでされたものとは、種類も感触も違う、というかあまり覚えてないが、アートにされると別の何かのようだった。心のリラックスを主眼に置いたソフトなタッチ、けれど的確に筋肉を刺激し、凝りや強張りをほぐしてゆく優しい動き。それらに全身をヒクつかせていると、アートは小さく笑いを洩らし、指先をくねらせる。


「ん、動かないで下さいね……全身くまなく、トロトロになるくらい……身体の芯から、柔らかくしてあげますから……何も考えないで、私に任せて下さいね……?」


「は、いっ……っっ……くふぅっ、おっ……っつっぁっ……!」


 女性から丹念に揉まれる事に耐性が無いせいか、アートの指圧と揉みほぐしによって、身体の表面から奥にかけて仄かに熱の波が広がり、全身の硬直が緩んでゆくようだった。


 筋肉を身体の線に沿って撫でられ、それを繰り返されるたびに、圧力が強さを増す。ゆっくりとほぐされる感覚が伝わり、しかもそれが心地よくて堪らず、ライトは零れるような溜め息を吐いて、質素なベッドの上に敷いた、上等なベッドマットへと深く身体を沈めた。


「はぁぁぁ……溶けそう、アート……凄い、気持ち良い……」


「嬉しい……だけど、まだ始まったばかりです」


 言いながらアートの手は、背中から腰を、そして下着越しの臀部や太ももを揉み捏ねて、何度も往復を繰り返し、下半身まで弛緩させてゆく。脚を触られているだけなのに、その感触が股間に近づいているのを意識してしまい、とても恥ずかしくなり、うつ伏せから俯いて顔を赤面させてしまう。そのせいなのか、より強く指の動きを感じる。


「んっ、力を抜いて……今更ながら、恥ずかしくなりましたか?」


「……ああ」


 力なく頷く。


「さて、ここから本格的なマッサージに入らせてもらいます……ちょっとキツいかもしれないけど、我慢して下さいね?」


「えっ……おっ、ちょ、ちょっとアートっ……んぎゃっっ……」


 ライトが問い返すより早く、背中を強く押される感覚とともに、ベッドが大きく揺れた。それと同時に、柔らかな感触が剥き出しの背中を撫で、餅のような肌の弾力が脇腹を挟み、擦り上げてくる。アートが背中に跨がり、その手を首筋に這わせてきたのだということは、説明されずとも察する事が出来た。


「少し身長差があるから、変に体重が掛かるかもしれませんけど、勘弁して下さいね……んっ、しょっと……」


「い、いやいや、アートは軽いから! 重くないからっ! 全然平気っ!」


「んっ、照れますね……じゃ、始めます」


 上機嫌となったアートは繊細な力加減でマッサージを続けてゆく。身体を少し傾け、首筋への指圧に体重が乗る。アート以外の女性の記憶は、ヤンデレが怖いから封印したので、圧倒的なボリュームとして背中に広がる尻肉の感触はもちろん、太ももで肌を撫でられた感触に背筋がザワつく。


(おっっ……ふおぉぉっっ……なっ、なんかヘンな、気分っ!)


 アートが手を前後に動かすたび、柔らかくたわんだお尻の感触が、腰や臀部に伝わる。


「んっっ……しょっ……ふぅっ、んっ……んぅっ、んん~~~~っっ……」


 しかも力加減をしているからなのか、アートの吐息と掛け声が艶かしく弾み、まるでイケない事をしている、されているような錯覚に陥るのだ。


「はぁっ……んっ、あぁぁ……アートっ……んくっ……」


「ちょっと苦しかったでしょうか。エステとかマッサージって、本格的だと、受ける方も意外と、体力を使うの……よっと。これからちょっとヒンヤリするけど、我慢して下さいね」


 言いながらアートがライトの背中で身体を揺らすと、今度は耳元に、何かを絡めるような音が響いてきた。


「オイルマッサージをしてあげます……はーい、ちょっと冷たいですよー」


 何処から取り出したのか、天然オイルが入っている洗面器が、ライトの顔の横に置かれている。


「は、いっ……んくぅぅっ、あぅっ……あっ、はぁぁぁ……」


 冷えた粘液がアートの掌で、肩から背中まで、広範囲に塗り込められてゆく。それが終わると腰へ、次は臀部へ、そのまま太ももへ。自身の臀部も使って身体を擦り、下方へとすべってゆき、あっという間にライトの全身は、オイルに塗れてぬめった感触で満たされてしまった。アートの手が身体の側面から正面へもすべり込み、身体とマットの間にもオイルが満たされた事で、その上に横たわっているだけで、電流のような心地良い快楽の刺激が迸ってくる。


「次は足のストレッチと、血行促進です。ちょっと脚を曲げさせてもらいますね」


「へっ。おおおっぅっ!?」


 言いながら膝を曲げて持ち上げられると、次は膝の裏側であるひかがみからすねの辺りへ、衝撃的な感触が伝わった。アートによってしっかりと抱きしめられた足が乳房で挟み込まれ、オイルを巻き込みながらしごき立てられる。その状態で太ももの裏側が、ゆっくりと指圧でほぐされてゆく、心地良さと微かな痛みによる快感が脚を痺れさせた。


「はぁっ、ぐぅっ……あんっ、あっ……」


「ツボもあるからね、ちょっと痛かったですか? んっ、可愛い声で痛がる、旦那様ったら……それじゃ、少し優しくしてあげましょ」


 指圧の刺激が緩くなり、太ももが爪先で撫でられ、擽られるような焦れったさに跳ね震える。そうすると余計に乳房の感触が足に押しつけられ、暴れる腰は股間をマットに擦り付けてしまい、背筋から脳天へ蕩けるような快感が迸った。


(ふぁうっっ……あぅっ、なっ、何これっっ……変な気分っっ、くぅぅっ……)


 下腹部から尻奥へ未知の快楽が伝わる。尿意にも似た感覚が、解放を求める切なさとなって突き抜けるも、漏らす訳にはいかないので、何とか奥歯を噛み締めて押し殺す。けれどこのままマッサージをつづけられては、いずれは我慢が崩壊してしまうかもしれない。


(--って、漏らしたら怒られるっっ! た、耐えないと、終わるまでっ……)


 そんな悲壮な覚悟で歯を食い縛るライトの脚を擦りながら、アートの妖艶な声音が、無慈悲な宣言を口にする。


「こっちが終わったら、反対の脚もだから。もうちょっと我慢して下さいね?」


「ぁ……えっ、あ、あのっ……」


 この快感が、少なくとも同じくらい続く。そう考えただけで、股間が熱くなり、お尻の奥がうずくように震えた。


(マ……マズイッ、ヤバすぎるっっ! 何とか、アートに止めてもらって--)


 そんな風に思って、ライトが口を開くよりも早く、アートの手が太ももを握り、扱くような手つきで揉みしだいてくる。


「ここを、こうしてと……んっ、旦那様。こんなのはどうです?」


「んぁうぅっ!? あっ、ひっ……ア、アート、お……あぅっ!」


 脚を抱かれて乳房の感触を存分に堪能させられ、その状態で太ももを扱かれると、まるで別のモノを扱かれているように錯覚してしまう。ベッドと身体に圧迫される股間が、痛いほどに暴れて下着の内側に擦れ、電流のような快感が突き抜けた。


(ほっ、あぁぁぁっ……ま、まだ片足なのにぃっ!)


 声を洩らすと身体が弛緩し、堪えようとする筋力が緩みかける。懸命に歯を食い縛って、それら両方に耐えようとするも、柔らかな乳房を押しつけられると、それだけで背筋が痺れ、身体が跳ねてしまった。


「んっ、流石に元気です、旦那様……うんっ、私も張り切ります」


(そ、それ以上は、ちょっと--あぐぅっっ!)


 張り切ったアートが寄せている乳房は、彼女が身体で揺らしているせいか、そのまま足を挟み込んで上下に揺れ、柔らかな乳球で挟まれる快感を塗りつけているようだった。だが、それに蕩けていては力が抜けてしまい、堪えている尿意のような排泄欲求が決壊しそうになる。


「ふぁうぅぅ……はぁっ、あぁぁ……」


 腰を小刻みに揺らし、脚をヒクつかせて、ライトはアートの手技から懸命に逃れようと、全身を何度も跳ねさせていた。だが、ようやく片側が終わっても、アートが身体の反対側に回り、もう一方の足にも、夢のような柔肉の感触を伝えてくる。


「次はこっち……んー、ちょっと腰を浮かせて下さいね?」


「え--あ、あの、どうしてっ……?」


 突然の言葉に、ライトは顔を真っ赤にして問い返した。


 アートはライトの臀部を撫で回しながら、優しく答える。


「思ったよりも、脚への負荷が大きいみたいです。だから念入りにしたくって、少し体勢を変えます」


「……わ、わかった……」


 腰を浮かせると、アートの指が太ももを握り、脚の前側を支えるようにして、肌をゆっくりと揉みほぐしてくる。けれどそうすることで、アートの手がより股間に近づいてしまい、いつかそこへ触れられ、異変に気づかれてしまうのではないかと、気が気ではなかった。


「うん、ありがとう……それじゃ、このまま続けますけど、脚は私の手に、預けてくれればいいから。はい、リラックスしてね」


 アートはそう、優しく声を掛けてくれるが、手が脚を持ち上げるたびに、何度も腰を震わせてしまう。まるで犬がオシッコをするような角度で脚を上げられ、とても恥ずかしくて堪らない。


 アートの手つきとオイルのぬるつきが肌を這うたびに、暴れる股間が下着に擦れ、マッサージされていない部分からも、快感を注ぎ込まれてゆく。


 擦れる事でもたらされる未知の快感、乳房を押しつけられる精神的な快感、そして巧みな手技で身も心も蕩かされる快感。その全てに腰を躍らせ、恥ずかしい喘ぎを洩らしながらも、ライトは懸命に尿意のような感覚を堪え続ける。


「ふぐぅぅっ……あぅっ、んっ……んはぁぁっ……!」


 何も考えられないほど、頭の奥まで真っ白にし、どのくらい時間が経ったのか。永遠に続くように感じられた苦悶と至福の時間が、アートの声でようやく終わりを迎えた。


「はい、お疲れ様でした。これで脚の筋肉はバッチリ」


 アートの谷間で擦られた両足が解放され、身体が揺れるたびに、振られていた股間のそばからも、指が遠のいてゆく。その状態でライトは、僅かに腰を浮かせて臀部を突き出した、なんとも恥ずかしい体勢になっていたものの、どうにか排尿しそうになるのを堪え、荒い息を吐いてベッドに突っ伏していた。


(はぁっ、はぁぁ……気持ち、よかったぁ……あうっ……!)


 腰が震えた瞬間、油断してしまったのか、少し出てしまうも、幸いオイルで下着が濡れていたため、傍目からは分からないだろう。股間がヤバいままなので、ジッとしているだけでも多大な刺激が駆け抜ける。


(い、急いでトイレに--)


 アートの前でこれ以上の無様を晒さないようにと、ライトはそう考えて震える手をつき、身体を起こそうとする。


 しかしそこで、アートは容赦ない一言を告げた。


「それじゃ、次は仰向けになって下さいね? 旦那様の身体、真正面からもほぐしてあげますから」


「なっ--ぁ……あ、のっ……ま、待って下さいっ、ア、アート--おあぁっ!」


 絶句し、それでもなんとかアートを呼び止めようとするも、アートは無言になっていたライトの身体を簡単に転がして、ベッドの上で仰向けに寝かせる。そのためのオイルでもあったのかと気づかされつつ、ライトの抵抗は虚しく終わった。




「うぅ……お婿にいけない……」

「ぐへへ、ショタな旦那様サイコーですぅ」

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