第12話 甦った記憶…?
「ふわぁぁぁぁぁぁ~~~~~」
良く寝た…こんなに長く気持ちいい目覚めは久しぶりの様な気がする。
俺は辺りを見ると、見覚えのない部屋だった。
そして俺は両手を見る…と、手は小さな子供の手だった。
「そうか! 夢か!」
俺はもう一度布団に潜った。
…って、それで良いのか⁉
この部屋は、見覚えのない部屋だぞ⁉
俺は飛び起きてから、窓の外を見た。
それは中世の様な街の作りで、家の煙突からは煙が上がっていた。
「ちょっと待てよ? 俺は海外にでも来ていたっけ?」
近くに鏡があったので姿を見ると、見知らぬ子どもの姿が映っていた。
俺はシェーのポーズから、コマネチをして、アイーンをした。
どうやら、俺は子供になってるらしい…?
何で俺は子供の姿になっているんだ?
「ちょっと待てよ…確か調味料研究発表会の後に、同僚から飲みに誘われて…それで帰りに女の子がトラックに轢かれそうになったのを助けてから…あれ?」
その後にどうしたっけ?
あ、女神を名乗る女に死んだと告げられたんだっけか!
生まれ変われるとしたらどうしたいと聞かれて…俺は確かこう答えたんだっけ?
「剣と魔法のファンタジー世界で、調味料を作る研究をしたいって言ったんだっけか!」
それでこの世界に転生して、赤子になったんだけど…
俺が生まれた国が亡びるので、生存処置の為にカプセルに入れられてから…確か数十年か百年くらい中にいたっけ?
それでやる事が無くて寝てばっかいた時に、肌の色が悪いおっさんが…んで、その後は?
俺があのカプセルから出られた事を考えると、俺は無意識で今まで過ごしていたのか?
俺はベッドの枕元にあるスマホの様な大きさのカードを取った。
それには、名前の欄に【テッド・リターンズ】と書かれていて、12歳と書いてあった。
「なるほど…これがラノベやアニメにある転生という奴で、12歳になって前世の記憶が甦るパターンか!」
だとすると?
12歳まで過ごしていた人格があるよな?
俺は目を閉じて記憶を遡った。
すると、カプセルに入っていた俺を…俺と同じ位の男女に拾われてから、育てられたのか!
なら、それまでの人格は…?
記憶はあるな、潜在意識という奴か?
「今の俺は…冒険者でレベル80⁉ 中々に高いな! 使える魔法は…スキル調味料?」
俺は目を閉じて瞑想をした。
なるほどなるほど…俺には妹が3人いて、血の繋がりは無し。
えーっと…?
14歳までにレベル100にしないと死ぬ⁉
魔王を追い払い、魔王の幹部を3人倒した?
すると、広い空間に体育座りをして丸まっている子供の姿があった。
近くに行くと、呼吸をしている様だった。
そしてその子供に触れると、俺の体の中に入って1つになった。
「なんか…気持ち悪い感覚だな! 子供の記憶が一気に流れて来たぞ?」
だが、そのお陰で現在の状況が解った。
えっと…?
使える調味料は…なるほど、結構多いが…ファンタジー世界だから解らない調味料は使っていないのか?
調味料合成に調味料種類分けねぇ?
なら、この…テッドという少年の代わりに俺が調味料とは何なのかを作りだせば良いのだな?
「レベルには…レベル51からはスパイス系でレベル65以降は、米や豆などの食材か…」
俺の体では料理は出来ないらしいから、これらの食材は調味料として認識されているんだな?
まぁ、ニンニクもショウガも食材であり調味料だからな。
とはいえ…腹が減ったな!
下に降りてみるか…それと口調も替えないといけないか!
そんな事を考えていると、扉をノックする音が聞こえた。
「お兄ちゃん、起きているの?」
「あぁ、今起きた。」
「入って良い?」
「いいよ!」
扉から入って来た子は、俺の1つ下の妹のリット…か。
「おはよう! お兄ちゃん!」
うん、可愛らしくて元気な子だ!
俺はリットという妹に転生前で家族にやっていた挨拶をした。
「おはよう、リット…」
俺はリットの頬に軽くキスをした。
するとリットは、顔を真っ赤にして座り込んだ。
おかしいな?
これ位の挨拶は普通なんだが?
それとも異世界では普通では無いのか?
「ごめんリット…嫌だったか?」
「う…ううん、嫌じゃないけど…いつもしない事だから驚いちゃって!」
「それで、何か用か?」
「あ…うん、御飯を作っているんだけど、調味料が足りなくて…」
「あ、なら行こうか!」
俺はリットの手を取ってから、腰に手を回した。
するとリットは、「ひゃうん!」という声を出した。
「ごめん、くすぐったかったか?」
「平気だよ…ちょっとビックリしただけだから。」
これもダメか…難しいなファンタジー世界は…?
俺とリットは食堂に行くとリットは料理を再開した。
「ふむ…肉料理か! 味見をさせてくれないか?」
「これで良いかな?」
リットは小皿に汁を入れて渡してきた。
それを口に入れると、適した物は…?
「リット、これとこれとこれとこれを3:3:2:2の割合で入れていってくれ。」
「うん…? 解ったけど…?」
俺の言われた通りにリットは鍋に調味料を入れてから、再度小皿に汁を入れて渡してくれた。
それを味見すると、丁度良い味付けになっていた。
その小皿をリットにも味見させると、目を輝かした。
「こんな味になるなんて…」
「調味料の事は任せろ!」
すると、同じ顔の女の子が2人入って来た。
「ルット、ロット…今日のスープは凄くいい出来よ!」
「そうなんだ…あ、お兄ちゃんのおはよ!」
「おはよう!」
「2人とも、おはよう!」
そう言って俺は、リットにやった様にルットとロットにも同じ風に頬に軽くキスをした…あ、これやったらまずかったんだっけ?
ルットは頬を押さえて何事かという顔をして、ロットは顔を赤くしてへたり込んでいた。
「お…おお…お姉ちゃん! お兄ちゃんは一体どうしちゃったの⁉」
「わからないの…私もさっきお兄ちゃんの部屋に行ったらいきなり…」
「ごめんな…嫌だったか?」
「嫌じゃないよ‼」
「私もビックリしただけ! お兄ちゃんこんな事してこないから…」
「それはな…3人が今日も可愛くてね。 つい…」
僕は妹達を見て流し目をしながら軽く笑顔で笑みを浮かべた。
すると、リットとロットは座り込んでから気を失いそうになったので抱きかかえてあげてから、「大丈夫かい、お姫様…」と耳元で囁くと、2人共気を失った。
「本当に…お兄ちゃんどうしたの?」
「俺は…いつも通りだよ。」
そして10分後…
家族で朝食を食べ始めたのだが?
「お姉ちゃん…これ、凄く美味しい!」
「お姉ちゃん、腕を上げたね!」
「これはお兄ちゃんの言う通りに調味料を加えて行ったの。 そうしたら、この味になって…」
俺はファンタジー世界の料理を初めて食べた感じがした。
元の人格が何度も食べている筈なのに、初めての味に感じたのだった。
そして料理を食べ終わった後に、今後の事について話し合った。
だが俺は…誰も悲しむ事の無い未来の選択を提案したのだった。
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