第9話 憤怒

「俺を倒す、ねぇ。

・・・お前、殺してやるよ。」


闘技場が壊れようが知ったこっちゃねぇ。


コイツを叩き潰す!


初めて出す全力の一撃。


全神経を拳に集中させる。


ぶっ刺す!!


「消えて無くなれ!!!」


右手を全力で突く。



その直後、風とは思えないほどに恐ろしい、竜巻なんて比ではないほどの見た目をした一撃があいつを襲っていた。


剣で切れる訳がない。

それどころか、剣を構える時間すら与えられない。


叫んでいるのだろう。

しかし、何も聞こえない。

ただ無惨にも、「それ」があいつを喰らい、蝕み、あいつの体から、まるで風船に穴が開いたように、全身の至る所から血を噴き出しているのを見せられていただけだった。


止まることなく蝕み続ける。

あまりの惨さに、もうやめてくれとすら思う。


しかし、これは魔法じゃない。

発動者の意思では止まらない。


風が彼を通り過ぎ、彼は風に吹かれたタオルのように、ふわっと崩れ落ちた。



それでも風は止まらない。


今度は闘技場を捕食している。


俺は、何もできずに、ただ立っていた。




闘技場の壁が半壊したところで、あれが消えた。




「っお、おいガレン。

も、もう終わりかぁ・・・?

も、もっとたのしませろよ、、、ほら、、な?」





・・・ここから先は覚えていない。


どうして俺はまだ、あの宿に帰してもらえないのか。

今、一番帰りたいのに。


褒めてくれるかなぁ。

俺、勝ったよ。



どうして俺は、こんなところにいるんだ。

なんで王城なんかに。


「女王様のおなりです。」



今まで曖昧だった思考が、随分と鮮明になった。

女王が来たからじゃない。


女王を知っていたからだ。

膝枕までしてもらっていた相手だからだ。


女王

「あら、驚いた。

武道会で騒ぎがどうこうで来てみれば、あなたじゃないの。

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