私の義妹は現在メイド

黒白ノ巫女

第1話

「はふ…。おはよ…青月せいげつ…。」

いつも以上に眠い…。昨日徹夜てつやしたせいかな?

「おはようございます。黄月おうげつさん。眠そうですね。」

声のした方を見ると、青月せいげつ微笑ほほえんでいた。

うん、相変わらず完璧に支度を済ませている。

青月せいげつはもうメイドが板についている。

昔から敬語ばっかり喋っていたからか、誰に対しても敬語になっている。

でも、私に対してはちょっとだけ敬語が崩れるから、ちょっと嬉しかったり。

「だって、昨日一緒にゲームしたじゃん。徹夜で。そしたらめっちゃ眠いんだよ~。へるぷみー青月せいげつ…。」

青月せいげつに起こしてもらわなかったら眠すぎて黒月こげつみたいに寝坊するとこだった…。危ない危ない。

「昨日のゲームは盛り上がりましたね。黄月おうげつさん、ゲームは相変わらず私に勝てませんね。」

青月せいげつは、他の人には見せない笑顔で言う。

可愛い…。

「だって、青月せいげつゲーム上手すぎるんだもん!今まで誰にも勝ったことないのに~。青月せいげつにも勝てないとなると、もう世界の誰にも勝てる気がしないよ~。無理ぃ~。」

支度をしながらそう言うと、青月せいげつは少し驚いた顔をしてから、また笑った。ほんと可愛い。独り占めっていいね~。

「それは流石に大げさですよ。世界には黄月おうげつさんよりもゲームが下手な人は沢山いますよ。私も数人黄月おうげつさんよりも下手な人を知ってますし。」

青月せいげつは、少し懐かしむように、目を閉じながら言った。

「ま、これからもっとゲームの腕上げて、いつか青月せいげつに勝ってやるんだから!待っててよね。」

私は挑戦的な笑顔で青月せいげつにそう言った。

それに応えるように、青月せいげつも少しドヤったような顔をする。

「もちろんです。絶対に負かして見せます。」

こんな約束、守られるとは限らない。

いつ死ぬか分からないし、いつ居なくなるか分からない。

でも、こうして約束をしたら、未来は無限にあるように思えるでしょ?

「あっ。そっか、もう桜が咲く時期だね~。」

ふと窓の外を見ると、うちの庭に植えられている桜の木が、見事な桜を咲かせていた。綺麗だなぁ。青月せいげつを並べたらもっと綺麗だなぁ。

「そうですね。この桜も、見るのは何回目でしょう?沢山見てきた気がしますが、それでも飽きませんね。年を重ねるごとに綺麗さが増すような気がします。」

青月せいげつは目を細めて、桜を眺める。

やっぱり可愛いなぁ。そして綺麗。うん。完璧。

絵になるよ。早く隣に並べたい。

「じゃあ、定例会議も始まるころだし、行ってくるね。」

「はい。行ってらっしゃいませ。私はもう少し作業をしていますので。」

「うん。頑張ってね。」

「はい、ありがとうございます。」

お互い笑顔で、そう言って、私は部屋を出てホールへ向かった。

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