第45話 ア・リシャーは憤怒したい! (1)

「アリちゃん、そんな大きな声を出して怒ったら不味い。不味いって」と。


 自身の目の前にある机を叩きつつ、立ち上がる。そして小汚く臭い小男へと怒りに任せ、怒声を吐くア・リシャーなのだが。彼女の怒声を浴びた当事者! 張本人の男は、彼女の怒声を浴びたからと言って、怯み、怯えると言う事はない。


 でも彼は、自身の顔色を変え──立ち上がり、自分の事を真っ赤な顔で、「うぅ、ううう」と呻りつつ睨むア・リシャーに対して、何に怯えているのかは分からないけれど。大きな声だけは出さないで欲しいと嘆願をするのだ。


 それも「アリちゃん、そんな大袈裟な怒り方をしたら、上司に叱られても、俺知らないぞ」と。小汚い男は、自分が原因……。自分の事を棚上げして、にへらと笑いつつ、ア・リシャーを諫めるように告げるものだから。


「あなたね~」と、ア・リシャーがまた呻れば。




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