第116話 後処理
俺達は燃えてしまった家から、出せる物を出していった。
幸い火災は賊の所為にされ、俺は誰からも責められなかった。
途中から皆に建物を任せ、俺は賊達の尋問だ。
分かったのはこの強者は元冒険者で、頭領の実の弟だった。近隣の街道で商人や旅人を襲い、稼いできて帰ってきた所だった。
俺は頭領への尋問をミスっていたのだと今頃になって気が付いた。質問の仕方がまずかったのだが、尋問時に頭領は嘘をつけないので、満足してしまった。
質問の仕方を間違えていた。それが分かったのはこの通りで、後日の事となったのだが、まさかあの時にこのような結果になるとは思いもよらなかった。奴が率いていた者は確かに俺が捕えた。だが、別働隊がいる事に気が付かなかったし、その事について具体的に質問をしなかった。
隷属化の力により盗賊達を奴隷にした時に嘘を禁じているから、その回答に満足してしまったのであり、本来俺がしなければならない質問はこうではなかった。
「お前達の盗賊団はこれで全員か?別の所に行っていて、まだ戻っていない者はいないのか?」
このような質問をしなければならなかったが、俺が質問した内容について、頭領は己が村を出る時に一緒に連れて行った者のみを指すような受け止め方をしていた。勿論曲解をしているが、、確かに嘘を言ってはいないが、本当の事でもない。全てを白状しなくて済むような余地を与えてしまったのだ。
俺が言った率いているというのは、尋問したのは盗賊団の頭領なので、その部下の事について、全てを指していたつもりだったが、実際のところ、頭領は村を出撃する時に直接率いていた本体の者のみを【お前が率いていた】というように捻じ曲げて解釈していたのだ。別働隊は部下に任せていたからだ。
そう、大所帯の盗賊が近隣を襲うのに部隊を1つしか持っていないというような事は考え難いのだが、俺にはその辺りの知識がなかったので、判断を誤ったのだ。
今回捕えた奴への尋問時に、村に尽くすか町で売られるかの希望を聞いてみたが、全員殺せの一点張りだった。
スキルはやはり1度全て奪い、非戦闘系のみ与えた。
そして農奴して村に尽くせと命じた。また、焼けた家は急ぎ建て直す事にしたが、奴隷達の中に元大工がいて、そいつを中心に建築する事になった。
幸い木材は豊富にある。
しかし俺はヘトヘトだった。
エルザもそうだが、無理なペースで駆けてきたからだ。
エルザはまだ万全ではない。先ずは部屋に行かせ、寝ているようにとの指示をした。
実はハインに手紙を持たせたのはカナロアだった。カナロアがハインに託し、俺の所に向かわせたのだが、それを知るのはカナロアだけだった。ミザリアはハインが勝手にどこかに行ったのだと本気で思っていたのだ。
怪我人を治療し、暫定的な村長に、近隣から移住する者が近々来る と話すと安心していた。
俺は眠くて仕方がなかった。
俺が強行軍の後で足元がふらついているのをイリアとミリアが気が付き、2人に両腕をがっちりホールドされ、部屋に連れて行かれた。
この細い体の何処に俺の抵抗を許さない力があるのやらだが、観念して黙って従う。
部屋に着いて倒れそうになるが、2人が装備を外してくれた。
万歳をさせられ寝間着に着替えさせられ、そのままベッドに横たわる。
一気に疲れが出てきたが、取り敢えず一緒に横になる2人の尻尾をもふる。ひたすらモフっていたら2人からバカとか言われた。
「ごめんな。かなり無理をして来たから、体が痛いんだ。2人共綺麗だよ。俺の双子の女神様だね。後で色々話を聞かせてね」
そう言ってから程なくして意識を手放した。
2人が何かを言っていたような気がするが聞こえなかったのだ。
そして起こされた時は既に夜になっていた。夕食の用意が出来たと言う。
なんとか起きて食堂に行くと、久し振りに全員集合だ。フランカもいた。
食事を始める前に俺は正式にエルザを娶ったと伝えると、エルザは皆から祝福された。
そしてミザリアがイリアとミリアの2人について、正式に娶るように改めて伝えてきた。二つ返事で了承し、それから頂きますだ。あっ!夕食の方ね。誰だ?ここでおっ始めるのか!と思った奴は!?
コホン。明日からどうするかとの話になり、村でやる事がもうなくなってきたとの認識だ。
なので明後日に村を出て、一旦ホームタウンに戻る方向で動く事にした。
行き先は途中の情勢次第なのだが、土地を確保してイリア達の屋敷を出し、住めるようにしたかった。
彼女達を娶るのはそれからで、初夜はその屋敷と勝手に決めていた。
しかし2人の破壊力はかなりのものだ。
超絶美少女が猫耳なのだ。可愛くて仕方がない。今日はその2人の添い寝だ。久し振りに一緒に過ごしたいというのだ。
押し倒し貪り付きたいのを必死に我慢し、2人の話に耳を傾ける。子供の時の話など取り留めの無い話だが、自分の事を知って貰いたくて必死に話すその姿は穢してはいけない存在にすら見えたのだ。疲れもあり、モフりながら眠りに落ちるのであった。
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