第82話 目覚め
俺は目覚めた時、胸の辺りに圧迫感を感じていたが、ここは知らない天井だ。
どうやら宿から別の場所へ運ばれたらしい。
俺の布団にイリアとミリアが突っ伏している状態であった。なる程、圧迫感の正体はこの2人だったのか。
確か熱を出して倒れたはずだったが、状況が飲み込めない。仕方がないので2人を起こす事にした。看病してくれていて力尽きたのかな?
「2人共、すまないが状況を教えて欲しい。それと、猛烈にお腹が減っているんだが、何か食べるものはないか?」
そう言うと、2人は俺の顔を見るなり抱き付き、泣きじゃくった。わざとなのか、無意識なのか相変わらず胸元に俺の腕を持って行く。ミリアが先にハッとなり、アイテムによる念話を飛ばしてきた。
俺は2人を抱きしめてから涙を拭ってやる。そうすると イリアが説明をし始めてくれた。
「友安が死んじゃうと思ったんだよ!良かった!良かった!生き返って良かった!」
意味深な事を言っていたが、意味が分からないので取り敢えずスルーした。ただ、ききずてならないワードが出たぞ!生き返った?
「ゼツエイやフランカが見当たらないが、彼らはどうしている?」
「 はい、変異に立ち向かわれる為、変異が発生してる場所で対処をしていると思います。まだ何とか子供が通れる程の大きさの段階だそうで、 変異自体は友安様が居なくてもなんとかなっていると聞いています。段々大きくなり、次の発生が明日位になると思いますわ」
イリアとミリアは更に俺に現状や、俺に起こった事の説明をしてくれた。
どうやら俺は1週間意識をなくしていたらしい。 そしてこの2日程は容態が安定した状態だった。また、2日目と3日目に心臓が止まったそうだ。まじかよ!
以前ミザリアに、もしも心臓が止まってしまった場合の対処について話をした事があった。
乱暴な手だが、風系の魔法を使える者が、弱目の魔力で発生させた雷魔法を心臓の辺り目掛けて放つ。
それによりAEDの代わりをさせようと俺は話をしていた。
医学知識が皆ないので、俺が言っていた事に対して興味津々で、心臓マッサージや人工呼吸の話をしていた。心臓マッサージの仕方も馬車の中で暇潰しにと教えていたりした。
どうやらそれが役立ったようで、俺を蘇生させたのはミザリアだそうだ。
因みにイリアとミリアは 2日目に熱が引いて、今はけろっとしている。熱が下がった当初はまだ体力が落ちているので、俺の看病をする者が誰か必要なので、必然的に2人になったようである。
俺は起き上がったが、ふらふらで、思わずその場にへたり込んでしまった。
イリアが食べ物を取りに行ってくれていた。程なくしてイリアが戻って来た。その手にはパンとスープを持っており、2人は俺に食べさせてくれるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます