第59話 勇者ガチャる

 今は明け方少し前だったが、 俺は全員を起こす事にした。そしてミザリアから説明を受けたイリアとミリアも、俺の収納から出した服や下着の中から 1着ずつ選び、提供してくれた。勿論後で代わりの服を買う事を約束し、今日はというか、朝になったら代わりの服を買いに行く事になるだろう。


 そして服の方だが、100セット揃う事になり、俺の服も1セット出した。下着は各自の袋に入れてあり、その袋を出す。勿論中は見えないし、俺も見ない。流石に恥ずかしいからと、服の中に下着を挟み込み、意図的に見ようとしなければ見えなくなる。そう指示をした。何せミザリアは服を畳んだ上に下着を置いており、俺がドギマギしてしまったので慌てて指示をしたのだ。そうする事により下着を見ないようにした。


 ミザリアの黒の下着・・・勿体ない。コホン、これにより男性用、女性用の下着と服のセットが各々100セット用意できたので、ガチャを引く事が可能になった事が分かった。さて引くぞ!人がほぼほぼ揃えたガチャの引き換えアイテム、ゴチになります!


 皆が見ている前で先に準備が整った男性用を引いてみる事にした。 下着と服をセットし(並べるだけ)、ガチャのギフトを立ち上げた。


「期間限定ガチャを引く条件が整いました。男性用のガチャを引きますか? yes no」と聞いてくるので、 yes を選び、ガチャをポチった。するとルーレットが顕現し、スタートボタンがあるのでスタートボタンを押すとルーレットがスタートした。


ちなみにルーレットは皆に見える形で顕現しており、ボタンを押すとルーレットに玉が投入された。0番から99番までの番号が書いてあるマスに向かって玉が転げていく。


1分位転げただろうか、玉は 金色の0番の所に入って行った。 これがいいのか悪いのか分からなかったが、そのルーレットからピンポンというアラーム音と共に、アナウンスが聞こえた。


「おめでとうございます!見事 UR華を引かれました。カプセルを開けますと、UR華キャラが召喚され、この場に現れます。UR華のキャラはランダムになりますので、ご承知おきください。それでは幸運を。尚チェンジは出来ません」


 よく分からなかったが、レアリティが1番良いのを引いたらしい。 そして金色の玉が出てきて、玉を受け取るとルーレットは消えていった。いや、カプセルか?


カプセルを開けるのを我慢し、次に女性用を選ぶ。そうするとやはり同じようにルーレットが出てきて、スタートボタンを押す。すると、コロコロと玉が回って行く。またもや金色の、そう、0番の所に入っていった。1パーセントの確率の筈なのに2回立て続けに入ってしまった!ドロップされたカプセルにはそれぞれ青と赤の星が1つあり、区別が付いた。


 取り敢えず男性のカプセルを開けた。すると「ぼふっ」と間の抜けた音と共に湯気?煙?が出て、湯気が消えるとそこには片膝をつき、床に手を添えている派手な男がいた。ロックンローラーのような出で立ちにモヒカン、華ピアスだ。いや鼻か。というかパンク系のような気がする。見た目やばい。強者のオーラもさる事ながら、やばい系の奴にしか見えない。日本にいた時には絶対に関わらないタイプだ。


 派手な化粧は道化師のそれだ。怪しく不気味な雰囲気を感じる。


 むくっと立つと首を左右に振り、身体も左右に振ったり屈伸したりして、体の状態を確かめている感じだ。でかい!間違いなくドアで頭を打ちつける高さの奴だ。ただ、こいつはぶつけないだろう。そして喋ったが、妙に声が高い。


「ヘイ!ユー!ユーがミーを呼んだのかい?イエーイ!俺の熱いビートを感じてくれ!そこの綺麗なお嬢さんも、お子ちゃま達も盛り上がろうぜ~!それじゃあリクエストに答えて1曲いくぜぇ!それじぁぐぼぐがあああ!」


 何処から出したのか、ギター?を弾き始めたので、俺がグーパンチを繰り出して吹き飛ばしてやった。うざ!リクエストなんぞしとらんわ!


「何時だと思っているんだ。うるせーよ!チェンジだチェンジ!」


「お代官様!そ、それだけはご勘弁を!じゃなくて、チェンジは、無理どえーす!」


 気が重かったが、木剣を振りかざして奴を打ちつけるが、ギターの本体から剣を抜き出し、木剣を本体で受け止めた。本当に怪我をさせるつもりで打ち付けたが、あっさり止めた。

 どうやらギターは盾と剣に分離出きるようだ。ふむふむ。


 腕前はかなりの者らしいが、むさい奴を召喚したものだ、とため息をついたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る