第54話 結界と元凶者
結界を張る場所は、上級エリアの直ぐ外にあった。いかにもといった場所だった。
そこは広さ8畳位の正方形のタイル張りの床、四隅に高さ3m位、直径50cm位の柱がある。但し壁も床もない。
そして中央に高さ10m、直径60cm位の柱があり、4本の柱に対しロープで結ばれている。鎖か?
見えないが、中央の柱の上にはドラゴンの魔石が据えられており、それを核にして結界が発動すると言われた。
柱は魔力を通し易く、本来は4人の結界師が四隅の柱から術を発動し、中央にある柱に力を集める。勿論魔力が足りないので、地脈にある力を吸い上げて柱に送り込む。実際は魔力が強い者が殆どいないので、地脈に働きかけるのが結界師の主な役目との事だ。勿論強力な術者が1人いれば、結界の初期発動をする為の起動力(膨大な魔力)を確保できる。一度発動しさえすれば、地脈から力を吸い出し続ける作りになっている。
また、結界師により月に1度、魔力を注入しなければ結界が消えてしまうと教えられた。
エリアの入り口の方は、先の冒険者達がきっちり対処をしていた。
挨拶を交わし、もう1人の日本人と話をした。名前は祐輔。
この惨事の原因を作った者の話をすると、彼らもトラブっていたという。
捕縛に協力するというので、握手をし、これから結界を張るからと一旦エリアの外に出て貰う。
そして結界師の手を握り、魔力の共有化をしていった。手順が分からないが、結界師がリードするという。
俺の魔力の関係でチャージは数秒で終わり、結界師は呆気に取られていた。魔力を集めるのに時間が掛かり、本来4人掛かりで2時間は必要らしい。目には見えないが、魔石へ魔力が集められ、結界が再び展開した事が理解できた。
俺は町に戻り、先ずは結界師の死体を探し、スキルを貰っていく。30分近く経過していたので、不謹慎とは思うが生きている者を探す振りをして死体からスキルを回収しまくっていた。
そうしていると倒れている者の中に奴がいた。
辛うじて生きているが、下半身が無くなっており、死ぬのは時間の問題だ。いや、この状態で生きているのが不思議だ。腸がはみ出していて、なぜ失血死していないのかと。G並みにしぶといな。
惨めだな。あれ程粋がっていたのに。黒髪が真っ白になっている。
こいつからスキルを奪う前に話をした。直ぐに死なれると話の途中で死んでしまうからと、少しだけ回復魔法を施した。
「お前のしでかした事で多くの者が亡くなった。間もなくお前は死ぬだろう。死んで詫びてこい!」
「た、頼む!もっと回復魔法を使ってくれ!嫌だ死にたくない!死にたくない」
「無理だな。例え回復したとしても、下半身と内蔵を失っている。残念だが、俺は欠損部位の修復は出来ない。せめて同郷の者として看取ってやる」
ゼエゼエと苦しそうに息をしていたが、やがて息絶えていった。
死んでからスキルを奪ったが、死んだ為かギフトも奪えた。
スキルは大したのが無かったが、ギフトはそうではない。
ガチャ
回復(最上級)
この2つだ。
皮肉にも彼が持っていた回復ギフトには、死者蘇生と欠損修復も含んでいた。多分魔力が足りずに使えなかったのだろう。魔力切れ特有の症状が見られた。
ミザリアにだけ奪った力について伝えると、取得していない事にしないと俺が持たないという。ただ、蘇生をするならば直ぐにやり始めなければとなった。
しかし、俺が選んだのは蘇生を使う事だ。
ただ、死んだ者からはスキルは頂く。生き返らせてやるんだ、対価として貰っても罪にはなるまい。残念だが、俺は聖人君子ではない。元々、一般人からいたずらにスキルを奪わないとしてきたが、この世界を救う為に必要だ。ただ単に奪う口実が欲しかった。命の対価としてスキルを頂くのは、俺自身に課したルールをクリアするだろう。と己に言い聞かせていた。あくまで対価を貰うのであって奪うのではないと。
詭弁であるが・・・
そしてこの日本人に対して蘇生を使うのは余裕があったらにする。周りの者に死体を集めるよう指示をし、手近な死体から治療と蘇生を開始していった。
概算で200名位が死んだらしい。
果たして俺の魔力が持つのか?大丈夫だとしともタイムアウトにならないのか?と思うも、俺にはそんな事は分からない。なので心を鬼にして、年寄りは後回しにし、若い者を優先するの事にした。
まあ、俺なりのトリアージだ。
因みにガチャがどのようなギフトなのか、見る余裕はなかったのである。
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