第38話 襲撃

 俺が異変を感じるとほぼ同時に、ゼツエイが強目に声を掛けて来た。


「おい坊主、準備はいいか?お客さんがおいでなすったぞ。へまをするなよ」


 「分かりました。こちらは何時でも良いですが、くれぐれも当方からは手を出さないようにお願いしますね!」


 「心得た。しかし甘いのう。どう見ても盗賊や追い剥ぎだぞ!」


 「まあ、どんな展開になるのか興味があるんですよ。実際どんな風に襲ってくるのかとかね。でもあれ位の人数なら大丈夫でしょ?」


「見えておらんのに人数が分かるのか?確かに大した奴等じゃないが、こちらの倍以上だぞ。それにほれ、1人離脱したぞ。恐らく近くにいる仲間を呼びにいったのであろう」


「うん、離脱したのは2人ですよ!まあ、アジトが近いのかもですね。皆さん、最低でも1人は尋問の為に殺さずに生かしておいてね!」


 「ふん、大したものじゃな。悪いが儂は手加減が下手だから、ミザリア辺りに頼むんじゃな。ほら、来るぞ!」


 そうしていると馬車が止まり、囲まれた事が分かる。俺達は馬車から出たが、おそらく盗賊は15人程だろう。


盗賊A

「うひょー!こりゃあ凄え上玉じゃねえか!おい!死にたくなけりゃあ女を置いてどっか行きやがれ!逃げるなら追わないぜ!けけけけけ!」


盗賊B

「こりゃあ確かに凄えな。エルフの姉ちゃんは親分が欲しがるだろうから、俺っちはちっこい方でいいや!ちっこいのもどえらくべっぴんだな!くけけけけ!そらどうした!早くどっか行けや!」


「今すぐ武装解除して投降すれば奴隷落ちで済ませ、命までは取らない。掛かってくるなら命の保証はないぞ!俺の女を厭らしい目でみるんじゃねえ!」


盗賊A

「あーあ・・・、折角お情けを掛けてやったのになあ!お前、楽に死ねると思うなよ!お前の女が目の前で犯されるのを見ながら殺してやる!それとも女の目の前でイチもつをぶった切ってやろうか!?けけけ!おい、この坊主は後のお楽しみの為に殺すなよ」


 盗賊達の下卑た笑いが木霊する。


 俺達は身構え、女性陣は端っこで事が始まるまでは震えて怖がっている芝居付きだ。


 俺は怒りでプルプル震えているが盗賊の判定は違った。


盗賊B

「ぐははははは、こいつ怖くて震えてやがる!頼むから小便を漏らすなよ!そうだ、こいつはベニーの奴の好みなんじゃねえか?女の前でまずはベニーに掘らせるか!かかかかか!そら皆いけええ!小僧と女は捕らえ、他の男は殺せえ!!」


 奴らが襲ってきたが、先ずはフランカが振られた剣を弾く。騎乗からの攻撃なので結構苦しい態勢だ。


 俺は盗賊Aに斬り掛かり、イリアは早速スキルコピーを始めて2人で斬り掛かる。そしてミザリアは加減をしたウインドカッターを放つ。


「森の守人たるミザリアが求む!我が愛する者を守る力を与え給え!敵を切り裂き、我が前に骸を並べなさい!ウインドカッター」


 ミザリアの詠唱にて、騎馬の3人の胸に大きく裂傷を負わせた。すると賊が落馬していったが、馬には傷を付けてはいない。

 そしてあっという間にゼツエイが馬もろとも5人を倒し、フランカは危なげなく3人を殺した。イリアとミリアも1人ずつ倒し、俺はリーダーと思われる盗賊と、側近の盗賊Aの2人を相手に斬り結び、まず盗賊Aの方をアイスボールで叩きのめして落馬させたが、気絶した。次にもう1人と剣で斬り結んでいく。

 そして10合程斬り結ぶと、奴の首筋に剣を突きつけたが、奴は武器を捨てて両手を上げて降参した。俺はそいつに対して一瞬だが背を向けて周りを見ていたのだが、そいつが懐からナイフを投げようとしたのを見て、ミリアがジャンピングニーアタックを決め込んで、ぶっ飛ばして見事に気絶させた。


「何をやっとるか馬鹿もんが!嬢ちゃんがいなければ刺されておったぞ!完全に拘束するまでは油断をするでない!」


 「悪い。ミリア有り難うな。しかし見事な蹴りだったな。さあて、意識のある奴はうつ伏せになれ!」


 そうして生き残った賊をうつ伏せにさせ、1人1人に触れていき、奴隷化をしていくのと、馬術以外のスキルをごっそり奪う。正確にはごっそり奪った後に馬術を付与したのだ。


 実は特定のスキルのみを残す事が出来なくて、特定のスキルひとつのみを奪うか、全てを奪うかのどちらかしか出来なかった。正確には奪うスキルについて、複数選択が出来るのだが数分掛かってしまうので、このような時に悠長にする事ができないので、短時間で出来る馬術を戻す事を実行した。馬に乗れないと連れ回すのに不都合だからだ。


 奴隷化が終わると、生きている奴の治療を行っていくのであった。

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