第15話 新たな仲間

 俺は謝ると共に、慌ててイリアの服に掛けてしまった水気を拭くが、イリアはヒィーと唸り、俺に対して毒付いていた。


「いやー勘弁してください。俺のいた国に奴隷制度なんてなくて、結婚も両親の同意がある場合でも女性は16歳、当人達のみだと18歳になるまで出来ず、彼女達の年齢の者と姦淫をすると変態とされ社会的に抹殺されます。お手付きをすれば法に触れて捕まる国で育ったのですよ。ですから手を出すのは無理なのと、俺はミザリアさんのような大人の女性しか抱きませんよ」


「ふふふ。ではわたくしとでしたら問題ないのですわね♪」


 イリアが咽る。


 「えっ!」


「ええそうですね。ミザリアさんはとても綺麗ですし、大人の女性で気品もある!そうですね、俺の恋人だったのならもう抱いていますよ。今晩食事でも如何ですか?貴女のような素敵なレディーと是非語り尽くしたいものです」


「お上手ですのね。あらあら心配しなくても、貴女達の彼氏を取らないから心配しないで。友安殿は良い人ね。女に恥をかかさないもの」


 イリア、ミリア共、ミザリアの掌の上で転がされている感じだ。


「冗談はさておき、ミザリアさん達はこの町の方なのですか?」


「いいえ。この町には今朝着いたばかりですわ。そろそろ勇者召喚が行われそうなので、どのような者が召喚されたのかを調べに来たのですわ」


 俺はむせてしまった。


「案外お主だったりしてのう。ミザリアの婿探しの旅でもあるのじゃが、お主なら良いかのう?」


 俺達は俯いて黙ってしまい、実に分かり易い行動をとってしまったのだ。


「ええええ!まさか貴方様なのですか!?確かに2属性持ちの方に会ったのは数年振りですけれども、素晴らしいわね。うふふふ」


「それ絡みで昨夜既に刺客に襲われましてね。あまり私達に深入りされない方が良いと思いますよ」


 ミザリアさんと知り合えたのに残念だが、彼女達を巻き込まない為に俺は突き放す事にした。


「あら?急に変わりましたわね。心配しなくても貴方達に敵意を向けたりはしません事よ。私達は変異に備える為、その勇者様に力を貸す為に来たのですわ。婿探しはこの爺やが勝手に言っているだけですから気になされないで下さいね。それとも私の魅力に惚れてしまったのでしょうか?」


「あのう?最後のがなければ今惚れたかもだよ。確かに美人で魅力的だけど、普通そんな事言うかよ!?」


「友安殿は勇者か。まさか来た早々に見つかるとは運が良いのう。それと惚れたのはこのアホたれの方じゃ。まあ儂が言うのもなんじゃがな、器量良しじゃて。まあ少々毒舌が気になるがの。喋らなければ完璧じゃて、嫁の1人にでもしてやってくれぬか?それとこれから何処かへ行く宛てがあるのか?変異に備えて鍛えねばならぬのじゃろ?。良かったら儂らと行動を共にせぬか?これでもそれなりに名を馳せた冒険者のつもりじゃからのう」


「はうぅ!トト様それは言わないで!」


 嫁云々はともかく、実に有り難い申し入れだった。それとミザリアさんは心の声が口に出てしまったようだ。

 悪い人ではないが、美人だが残念さん?なのかな。でも好みだ!なんだかんだと言ってこの凸凹コンビは義理の父と娘のようだが、実の親子程の良い関係っぽいな。いや、血の繋がりがなければこそか?


 行く宛てもなく、3人ではジリ貧必須だ。年長者がいるのといないのでは全く違う。

 イリアとミリアはどうなるのか様子を伺っているだけで、意見がない。


 俺は恐らく変異とやらから逃げられないのだろう。もしもこの2人を袖にしたとしても、次の誰かが来る予感がする。それとミリアの様子から恐らくこの事は分かっていたのだろう。

 そのようにこの時はそう思っていた。聞かなかった俺がいけないのだが、ミリアがこの時見せた反応は俺が思っているのとは違ったのだ。予知能力で認識したのは、俺の予測とは違う内容で、その結末を知っているからだった。ミリアに苦悩を背負わせてしまった事実に気が付くのはかなり先の事だ。


 エルフもいいなあ!金髪だよ。胸は上品な大きさで俺のドストライクだ。顔は細長で繊細だ。うん、良い、良いぞ!エルフキターーー!!!

 俺に惚れてくれるかな!?ってさっきこのドワーフのおっさんが惚れたって言っていたな。まさかの一目惚れ?やっぱり異世界に来たからには猫耳とエルフは外す事って出来ないよね!!それに確かこの世界って一夫多妻制を認めて、いや推奨していたよな!おっさんも嫁の1人っていってたよね?美人エルフとあんな事やこんな事を期待しちゃうよ!等と不埒な考えが頭をよぎる。

 しかし、妙に鋭いミリアに足を踏まれ、我に返る。


 気配察知を持っている俺の背後に忍び寄り、俺を諌めたあの身のこなしは只者ではない。既にかなり飲んでいるこのドワーフのおっさんも尋常ではない使い手だと判断できる。

 今の俺じゃあ太刀打ちできないだろう。


「こちらこそ大変有り難い申し出です。是非宜しくお願いします!」


 そう言い2人と握手を交わし、お互いに泊まっている宿の名前を伝え、夕方に落ち合う約束をして講習に戻るのだった。

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