第9話 身支度

 次にうつぶせにした。

 背中も酷かった。鞭の傷だろうか?

 お尻も酷いものだ。

 背中とお尻を治療する。

 嫌な予感を覚えつつ念の為、肛門を見ると怒りを覚えた。恐る恐る見た陰部もだ。拷問していたのが死んだ奴の姉らしい。拷問したのが女だとは聞いてはいたが、肛門と陰部に焼きコテを当てたようで、火傷が酷かった。そう言えば奴隷商が性奴隷にすらできないと言っていたのはこの為だろう。ミリアは恥ずかしそうにしているが、構わずにヒールを掛ける。


「陰部の火傷はどうだ?流石に膣の中までは分からないぞ。どうする?中の治療が必要なら陰部に指を突っ込まなきゃならない。男性経験がないのだろう!?」


 ミリアは恥ずかしそうに受け答えをした。


「あ、ありがとうございます!その、そこはもう大丈夫です。あまりジロジロ見られると恥ずかしいです。はう!それとも私の体をご所望でしたらどうぞ。経験は有りませんが拒否権はありませんので、せめて優しくして頂けると幸いです」


 俺はついついしっポをモフった。

 2人のを同時に!うん!凄くいい!モフモフは正義だ!


 はっとなりもう一度全身をチェックする。俺は魔力を使い過ぎたようで全身に汗が吹き出ている。


 特に異常は無く大丈夫そうだ。立たせるとちゃんと立てた。服を着せようと思ったが2人共臭い。

 なので風呂場に連れて行く。ミリアはフラフラなので俺がお姫様抱っこで連れて行き、そっと床に寝かせる。


 イリアも風呂場に入って来ており俺も当然裸だ。

 俺は必死になり2人の体を泣きながら洗い、更に拭いてあげた。イリアのお腹には痣が有り、殴られた痕のようだが、何も言わずに治療をした。服はイリアは自分で着られたが、ミリアは疲労の所為で着られなかったので、万歳させて着せてあげた。


 そうしてベッドに寝かせる。当然ミリアはまだ歩けないので俺が運んだ。


 ミリアは目も見えるようになったという。大粒の涙を流して嬉しがっている。俺は少し休む事にしたが、イリアが感謝しまくり俺に抱きついてきた。

 ぎゅっと優しく抱きしめ、優しく背中をさする。女の子特有の甘いフェロモンが心地良く、体も柔らかく温かい。


 30分程横になっていたが、お陰で大分楽になった。

 いつの間にかイリアに膝枕をされており、俺は頭を撫でられていた。

 怖くないのだろうか?子供とは言え、膝枕をしてもらうなんて母親以外では初めてだな。うん!膝枕っていいものだなとぼんやりと思っていた。


 ミリアも少し回復したようで、何か言い掛けたが、あのうと言い掛けた所で3人共お腹が鳴った。1人目が鳴ると釣られたようで2人も鳴ったのだ。


 ミリアも少し体力が回復し、何とか歩けるというので、自らの足で歩いて食堂に行かせようと思ったが、ミリアの履物が無い。イリアのは粗末な物だったが、連れてきた時の草履があった。


 今更だがしまった!と気が付いた。抱っこで連れて来たから履き物が無い事に気が付かなかったのだ。

 裸足で大丈夫ですと言うが、拒否しておんぶして連れて行った。流石にお姫様抱っこは俺も恥ずかしい。


 食堂はもう客が誰もいなかったが、宿の主人に頼んで消化の良さそうな軽い食べ物を出してもらった。  

 席に行くと何故か2人共床に座っていた。


「床に座ってどうした?気分でも悪いのか?」


 イリアが答える。


「いえ、普通奴隷は床に座って食事をしますので」


「うーん普通はどうか知らないが、少なくとも俺は君等を奴隷とは扱わんぞ。俺と一緒の時は俺と同じ様に席に着くんだ。これは命令だと思ってね」


 2人共頷いて席に座る。


 出されたのはパンと温かなスープだ。

 2人共キョトンとしている。


「さあ食べようか。頂きます。さあ食べるんだ」


 2人は俺が普通ではないのだと理解したようで、ガツガツと食べ始めた。まるで雛に餌を与える親鳥の気分だ。


 食後に主人にサンダルを借りて服やらを買いに行く。

 服屋で服を選ぶように言うと2人は遠慮したが、命令と言うと喜んで選んでいた。

 普段着と下着、普段着用の履物を買い、防具店で革の服やブーツを買って早速その場で着替えさせた。とは言っても着替え用のスペースを借りてだ。

 そして武器店でイリアとミリアの剣や予備武器を買う。ミリアは風と水魔法が使え、剣より魔法が得意だという。今日の買い物は何だかんだで20万G程になった。


 そして急いでギルドに行く。

 前日の受け付け嬢が俺に気が付いて、即会議室に通された。

 2人の冒険者登録と明日の初心者講習への追加申込、パーティー申請だ。

 本来は奴隷申請というが、俺は城からの特別対応者として彼女達を一般冒険者として登録してくれた。


 そして手続きを終えて宿に引き上げたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る