第8話 万引き

小学校での生活も5年目を迎えた

夏休み前の話し

隣のクラスの今まで話したことも無い

女の子から一緒に帰らない?

と聞かれた。

『なんで?』あたしにはその返事しか出来なかった

その子の名前はチエちゃんと言うらしい

チエちゃんは隣のクラスでもいつも群れを作っているリーダー的存在だった

『帰り道違うから』私は言ったが

チエちゃんは『奢るから駄菓子屋行こ友達になろ!』って言ってきた。

『どこの駄菓子屋?』あたしは聞いた

『学校の裏にあるとこ』チエちゃんは言った。暇だからいいか、最近母親も昼は家で寝てるし、みあ子は母親と家にいて不登校になってるし色々考えて着いて行った。チエちゃんはあたしに仲良くなるには駄菓子屋のおばあちゃんにバレないようになんでもいいから持ってきて

というのが条件だったらしい

校門をでて左に曲がると小さな駄菓子屋があった

あたしの帰る道じゃないから知らない店だった。

チエちゃんは外にいるから何かみんなのお菓子を持ってくるようにあたしに言った。

とりあえず中に入ると『いらっしゃい』

おばあちゃんが座っていたがあたしはお金も持っていない

悩んでいる振りをしておばあちゃんの様子を伺いながら手に握れるだけのガムを取った。おばあちゃんは気がついてない様子で『決まったらお会計しにおいでね』なんて、優しく言ってくる

手に握ったガムがぐちゃぐちゃになるくらいギュッと握って『お金忘れたからまた来る』と店を出た

きっと早足だったと思う

店を出て道を曲がるとチエちゃん達がいた。『どうだった?』と聞いてきたので

ぐちゃぐちゃの、ガム4個をチエちゃんに渡した。『ぐちゃぐちゃじゃん』とケラケラ笑うみんなと笑った

皆でガムを半分こにして食べながら公園に行き次はいつやるか計画をたてていた

気がつけば仲間が出来ていた気がした

それからはチエちゃんを筆頭に5人グループで万引きをするようになった

どんどんエスカレートして毎日店を変えた。チエちゃんはいつも強気で皆が従っていた。

ある日初めに行った駄菓子屋に行くことにした1人ずつ役割を決めて

おばあちゃんの注意をそらす係

取る係と外で見張りの係。

あたしは手癖が悪いみたいで取る実行役をチエちゃんと二人でした。

その日はいつも以上に沢山取る計画でガムも飴も箱事用意していた袋に入れた

その日が最後の日になるとは思わなかったけどね。

店を順番に出ていく時におばあちゃんの息子がたまたま入口から入ってきた

チエちゃんは焦って袋を隠したが

バレてしまった。その場で学校の先生を呼ばれ親も呼ばれた。

みんなの母親が来る

あたしの母親も最後に来た。

おばあちゃんは、悲しそうに『泥棒はしたらダメだよ。良い大人になれないよ、次はやったらダメだよ』謝ったら今回は許してくれると言っていた。

息子の方は親に怒っていた『どういう育てかたしてるんだ、店を潰す気か?警察呼ぶぞ』その怒りは外に響いて周りの人も立ち止まり見ていた。

ふと横を見るとチエちゃんも他の子も泣いていた。

あたしは、感情がないのか?

怖くもないし。涙も出ない

おばあちゃんは『約束ね!もうしないね。』とみんなの頭をコツンとしていった。

みんなが泣いてる横で泣いている仲間を見て『泣くならはじめからやるなよ』なんて言ってしまったから息子にあたしは『君は反省もしないろくな大人にならない』と言われ母は『すみませんお金を払います』って言っていた。

今思えば母親は、あたしに怒ることすらしなかった人だ。

帰り道母親になんで迷惑かけるの?と言われた。

『…』母親は『本当にお父さんそっくりあー嫌だ』とあたしに言った

次の日チエちゃんと学校ですれ違ったが

話してくれなかった

仲間がいなくなったあたしはまた1人になった

前と同じ何も変わらない

寂しくもなかった、1人で校区外の店に行き万引きを繰り返した

捕まらなかった

何度も同じ店で万引きをした

捕まらなかった

今日辞めよう と決めた日の万引きは

鍵付きの日記帳をわざと選んだ

そして、走ったけどスーパーの警備員に捕まった

また母親より先に先生が来た

母親も来た。

母親は日記帳のお金を払った

あたしを、車に乗せて

『あんたなんか産まなきゃ良かった迷惑ばかりかけて地元の中学に行かないでね。またおばあちゃん所に行きなさい』と言われた。

中学は受験をし祖父母の住んでいる地域の、全寮制に入れられることになる




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