第6話 四人暮らし
父と母が暮らす家での生活は祖父母宅と正反対の暮らしであった
厳格な祖父母と暮らした約3年間は
父と母の暮らす家で3日過ごせば(滅茶苦茶な生活)にも慣れてしまう
子供とは如何に順応性の高い生き物だろうと我ながら感心と共に諦めていたんだろうと今は思う。
まみ子が小学生の3年生になった頃
みあ子も1年生になり月日は流れていた
相変わらず父は定職にはつかず夢追い人のような生活をしていた。
母は夜、子供を寝かせてから働きに行っていた
家は相変わらずお世辞にもレトロと言う言葉ではなく、まさに【貧乏】という
言葉がしっくりくるはずだ
玄関のドアは薄い木のドアで鍵なんてものはない。
あるのだろうけど外から閉める事なんてしたことが無い家だった。
学校から帰ってきたまみ子とみあ子だがいつもの事ながら家には誰もいない
その日はいつも夕方には居るはずの母もいない。
みあ子が不安なのか『お母さん帰ってくるかな、ごはんどうするのかな?お父さんどこかな探しに行こうか』と言う
探しに行こうと泣くみあ子に『お姉ちゃんいるから大丈夫ご飯作るね』とお米を探した少し米があったので母がしているように水を入れてみた。洗う事は知らなかったがどうにかお米は炊けたので
ご飯に塩をかけて食べた
少しすると家の電話が鳴りまみ子は玄関にある電話に出た『もしもし』相手は男の人だが知らない声『誰ですか』まみ子は聞いてみる
相手の人は『お父さんは家にいるかな?お父さんのお友達です』と言ったが
父に友達などいない。咄嗟にでた言葉は『父は出かけていていつ帰ってくるかは知りません』大体いつも夜中とかには帰ってくるが嘘をついていた。
電話の相手は『また電話するけどお父さんが帰ってきたらここに電話をしてね』と電話番号を伝えてきた。
優しく話す声の裏が怖い感じがして『お父さんは帰ってくるか分かりませんだから電話できないかもしれません』とまた嘘をついた。
その日の夜中父は帰ってきたが朝には居なかったので伝えることも出来ずに何日か過ぎたある日の夕方、みあ子といつもの様に学校から家に帰る通学路
家の前に見知らぬ車
1度通り過ぎてみる事にして角から自分の家をみていた。
派手なスーツの男の人が家を覗いたりとウロウロ見て回っていた
玄関は鍵など閉めてないのでもし父親が今家にいたら連れていかれるのか?
どうなるのか?
悩み抜いた末にみあ子に『お姉ちゃんがいいよって言ったら家に入れるからね』と言い1人で家に向かった
案の定見知らぬ車に乗った男の人達に声をかけられた『ここのおうちの子?』『はい』『お父さんのお友達だけどお父さんは居るかな?』身震いがした。
優しく話す言葉と顔が笑っていない
危険だっ
まみ子は『いるかいないかわからないです』男の人は『お家の中で待ってもいいかな?』と聞いてきた。とりあえずまみ子は父が居るか居ないか確認する必要があると思い『知らない人は家に入れたらだめだから、ランドセルおいてくるから』と理由をつけて家に入る
玄関のドアを開けると
磨りガラスの扉がある
閉まってた
良かった…
閉まっている時は父は居る
ランドセルを置く、直ぐに外に出ないと何か危険な事になると思い靴を脱がずにランドセルを玄関隅に置き
磨りガラスを音を立てないように少し開けた
父が不思議な顔をしてまみ子を見た
まみ子は小さい声で知らない車が目の前にいる、知らない男の人が居る事だけを父に伝えると父は適当に荷物をまとめた
まみ子に靴を渡すようにと合図をし
5分も立たない間に勝手口から出てった
それから直ぐにまみ子は外にいる男の人に『お父さんいないです』と嘘をついた
家の中見てもいいかと聞かれたので
『いいよ』と見てもらった
2階もトイレもお風呂も全部見た男の人は『また来るね』と帰って行った
みあ子を手招きで呼び母の帰りを待った
母親は買い物袋をもって帰ってきた
その日あったことを話すと『わかった』
その一言で終わったが、母が作ったご飯を食べお風呂に入り寝ることができた
相変わらずご飯は美味しくはなかったけど食べ慣れた味がした。
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