第22話 看病 其の三
「ん……」
雪音が昼ご飯を作りに、部屋を出て行ってからおよそ30分が経過したあたりで、瑞希は重い瞼を細々と見開く、すると部屋の明かりが差し込んでくる。思わず、目元を手で覆ってしまう。
しばらくして、その明るさに目が慣れると布団から起き上がり、部屋の壁に掛かっている時計を見て現在の時刻を確認する。
(12時か、2時間くらい寝ちゃってたのか。)
時刻は正午を指しており、思いのほか寝てしまったなと、心の中で苦笑する。
(雪音は……昼ご飯作ってるのか?)
部屋を見渡しても彼女の姿はない。
あるのは雪音が持ってきた何故が無駄にでかいバックのみ、これがあるということは帰ってはいないのだろう。まぁ、そもそも彼女の性格的に帰るとは思えないが。
(取り敢えず下に行くか)
ご飯を作ってくれているであろう雪音の様子を見に行くのと、再度熱を測るために部屋を出て、一階へと降りていく。
階段を歩いて降りていくと、キッチンの方から声が聞こえてきた。
「あれ、瑞希?起きたの?」
降りてくる足音が聞こえたのだろうか?
雪音がそう問いかけてくる。
「ああ、さっき起きたよ。」
「そうなんだ、なら丁度よかった。もうすぐ昼ごはんできるから、あぁ、でもどう?食べれそう?」
心配そうに雪音が聞いてくる。
「いや、大丈夫。食べれる。じゃあちょっと俺は熱測るから。」
「ん、わかった。」
雪音に返答し、体温計を取りに行く。
体温計を取ったあと、測り表示されるのを待つ。ピピピッと音が鳴り、体温が表示される。
(うーん、37.6度かぁ。下がってはいるんだけどなぁ。まだ治ってはないか。)
今朝測った時よりも下がってはいるものの、依然としてまだ熱はあるのだ。
取り敢えず、部屋に戻って休んでいるかと考え、体温計をしまい、戻ろうと歩く。
リビングに通りかかったところで雪音から声がかかる。
「瑞希ー、体温どう?まだ熱あった?」
その声に反応して、瑞希はキッチンの方に赴き、ひょっこりと顔を出す。
「まだ熱はあったわ。37.6度。まぁでも朝測った時よりか下がっているから段々と治ってきてはいるんだろうけど……っていうかそのエプロンどうした?」
雪音はエプロンを着ていた。だか、いつのまに持ってきたのだろうか?彼女が着ている物は見たことがないので、雪音が持ってきたのだろうと推測はできるが、エプロンなんかいつのまに……
「そっか。ん、分かった。あぁこれ?ボクが今日持ってきたんだよ?必要になるかなぁって。来る時に一旦家に戻って、色々と荷物を揃えてきたからさ。」
雪音は瑞希の家に訪れる前に、一旦自身の家に戻っていた。というのも、看病するんだし、色々必要になりそうだと思い、持ってきたのだ。
「あぁ、だから雪音の荷物あんなに重そうだったのか。」
「うん、そうゆうこと。はい‼︎じゃあキミは戻る‼︎作り終わったらキミの部屋に持っていくからさ。」
「いや、わざわざ持って来なくてもいいよ。俺が下に来ればいいだけの話だから。」
「えっ、いや、でも。」
「別にここで食べれるくらいの気力はあるぞ?だから作り終わったら呼んでくれ。」
そう言って瑞希は、自身の部屋に戻って言った。
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