第3話 実行

自己紹介を終え、自分の席に着くと事前に考えておいた作戦を行う。


まずは彼女と仲良くなること。


彼女の想い人を聞き出せるくらい仲良くならなければいけない。


だけど、仲良くなりすぎて私に恋をされてしまっては終わりの為、焦らずゆっくりと仲良くなっていく。


それと同時に彼女の想い人とも仲良くなる。


こちらも私に恋されないように慎重に。


好感度を確認しながらゆっくりと。


…。


それから、数日後。


ついに私は彼女と友人関係になり、見事に彼女の想い人のことを聞き出すことに成功する。


ここで、驚いたふりをしながら実はその想い人と私が友人であることを伝え、今度一緒に遊びに行こうと誘う。


そうして、彼女と想い人を友人にさせ、そこから発展させるのだ。


最初は恥ずかしがって会話が出来ない彼女だったが、そこは私がしっかりサポートをした。


こうして、私達三人は友人関係になる。


さて、次は想い人が彼女に恋をするようにしないといけない。


私達天使の役目である恋の成就はお互いがお互いに恋している状態で成功させないといけないのだ。


私は想い人の彼女に対する好感度を確認した。


今はまだ友人止まりの好感度。


これを恋している状態にするために私は今まで以上に頑張る。


常に三人で一緒にいる状態を作り出し、時には二人きりにさせる。


こうやって、私はあくまで二人を見守る友人Aとしてサポートに徹するのだ。


それから数ヶ月が経ち、現在の二人の好感度を確認する。


彼女は想い人に。


想い人は彼女に。


お互いがお互いに恋している状態であった。


そう。


私はやり遂げたのだ。


だが、喜ぶのはまだ早い。


どちらかに告白をさせ、結ばれて初めて達成なのだから。


私はさっそく彼女に告白しないかと持ちかける。


だけど、提案を拒否する彼女。


絶対に成功するからと何度説得しても断られてしまう。


あぁ焦ったい。


私は成功することがわかっているので余計に焦ったい。


彼女を説得することを諦めた私は今度は想い人の方に提案する。


すると、こちらは乗り気で。


すんなり告白することを受け入れてくれる。


それから想い人と告白場所と日時を決めた。


そして、本日。


想い人から彼女へと告白が行われるのだ。


ベンチに座り、仲良く話している二人。


そんな二人を物陰からこっそり見守る。


告白が始まるまで手持ち無沙汰の為、最後に一応二人の好感度を確認しておこう。


変わらずお互いに恋している状態であった。


もう残すところあと告白が始まるのを待つだけだ。


あぁ。


本当にここまで大変だった。


初めは簡単だと思っていた今回の役目。


まさか天使のままではなく人間の姿になる方法を使うことになるとは思わなかった。


かなり危険な方法だったが、見事やり遂げた私はさすがだ。


まぁ、他の天使達を押し退けて数人の恋を成就させてきた私なのだから当然なのだけど。


それでも、かなり苦労したのでだれかに褒めてもらいたかった。


とはいっても誰かが見ていた訳ではないので褒めてくれる相手はいないのだけど。


っと。


そんなことを考えていたら告白が始まるみたいだ。


しっかり見届けよう。


私が頑張った成果を。

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