悪役令嬢

 私は侯爵令嬢だが、いまつるし上げにあっている。

 相手は婚約相手であったが、真実の愛に目覚めたそうで、その相手と取り巻きを連れて、公務室にやってきていた。


「お前がこれまでやってきた悪行の数々を告発する」

「悪行とは何でしょうか、殿下?」

「しらばくれるな! この子に対してやってきた数々のいじめ行為、知らないとは言わせぬぞ!」

「いえ、知りませんが」


 殿下が言うには、私が彼女をいじめた、お飾りで結んだ婚約など破棄だ、ここにずっと入れると思うなよ!とのことだった。

「お言葉ですが殿下、このままだとこまるのはあなたのほうになりますが……」

「貴様の妄言などきかん!」

 と、取り付く島もない。

 困っていると、殿下の父君が走ってやってきた。

 

「なにをやってるんだ、ばかもん!

真実の愛だ? 儂が頭を下げて、結んでもらった婚約をそんなに簡単に破棄できるものか!」

「しかし、この気持ちは本当なのです!」

「黙れ、たわけが!!

 そもそも、お前の選んだ相手は、ほうぼうに借金がかさみ、没落寸前ではないか! そのため、お前にすりよっただけだろうて!」

「しかし、お飾りの結婚だと、皆が噂して!」

「お飾りは貴様だ!!

 そもそも、貴様、昨日読んだ書類の内容すらおぼえておるのか!」

「きちんと、ハンコは押しております!」

「では、説明してみよ」

「…………」

「やっぱり読んでおらんではないか!!!!!」

 と、殿下は引きずられていきました。

 行く前に、私に対して土下座して、この件については後で話し合おう、といってくれました。

 殿下はさておき、殿下の父君に対しては義理は果たしたいな、と私は思いました。

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