ゲーム・実況・自慢話

エリー.ファー

ゲーム・実況・自慢話

 遊ぶことは大切ですよ。

 仮に、それが簡単な行為に見えても、積み重ねることが重要です。

 いつしか、お金を稼げるようになるかもしれない。

 無駄なことなんて何一つないということですね。

 多くの人は、一笑に付すようなことが、一つのスキルとして認められて、社会の中に居場所を作ってもらうきっかけにもなる。まるで、ゲームドリームというやつですね。多くの人は失敗しますが、結局のところ挑戦しなければ何の意味もありません。そう考えれば、別にゲームというジャンルに限ったことではないでしょう。

 続けていると、何かが見えてくる。

 ただし。

 続けていても、続けたという実績だけが生まれる場合がありますが。

 まぁ、使い方次第です。

 その経験値ではありません。

 頭の使い方ということですよ。

 最終的にはね。



 実況を続けていると、自分がまるでその物語の主人公になったような気がしてくるものです。

 邪魔だ。そこをどいてくれ。

 お願いだ。

 今、多くの挑戦者をかき分けて、一人のランナーが先頭へと向かっております。

 速い、速すぎる。これでは誰も追いつけないでしょう。

 実力と才能が、運否天賦のこの勝負を退屈な遊戯に変えてしまうのを、私たちは今、目の前で見ているのであります。

 ゴールテープが切られるのを待っている。

 ランナーはゴールテープを切るためにひた走る。

 まぁ、こんな具合です。

 実況なんてのは、どうにでもなりますよ。

 あなただって、できるんですから。

 本当ですよ。

 簡単です。本当に簡単なんです。

 まず、目の前で起きていることを言葉にします。で、この時に詰まりそうになるじゃないですか。誤魔化します。何となくでいいから喋り続けるんです。そうすると、良い所までいきます。後は流すだけです。一番難しい所ですが、こんなものは数をこなせばどうにかなりますよ。

 脳の形が変わるくらいまでやれば、ね。

 やって下さい。

 できるようになるものですから。

 普通のことですよ。

 誰でも努力で到達できる地点です。

 私が立っているような場所ですよ。

 さあ、どうぞ。

 次はあなたの番です。


 

 自慢話じゃないんですけどね。

 はい、人を殺したことがあって。

 包丁でめった刺しです。

 うん、その気は全くなかったんだけどね。

 気が付いたら、相手が倒れてて、死んでるんだもん。びっくりしたよ。

 まともな人間として生きてきたからさ、まさか、自分がそっち側にいるなんて。いや、今はそのそっち側に来ちゃったんだから、こっち側か。うん、なんていうか、日本語って難しいね。へへへ。

 俺はね、ハーフなんだよ。

 ベトナムと日本のハーフ。お母さんが日本人でお父さんがベトナム人だったんだ。まぁ、日本語しか喋れないから、日本人みたいなもんだけど。いや、日本人みたいじゃなくて、日本人だよ。俺は。

 いじめられたなあ。

 日本人じゃないってだけで。

 凄く、大変だった。

 ベトナムのことを嫌いになったりもしたけど、なんていうのかな第二の故郷みたいには感じてるから、心から嫌いになるってことはなかったな。

 あとさ、初めてベトナムの料理を食べた時に、ちょっと懐かしいって思ったんだよね。あれはたぶん、DNAに刻まれた何かが反応したんだと思うよ。うん。



「どれになさいますか」

「最後の人がいいな」

「左様でございますか。では、追体験を始めます」

「うん、頼むよ」

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