二首目 雨上がり 短文付
雨粒の
かがやき誘う
涼風が
雲の切れ間が
光のスジが
うんざりだ、こんな田舎。
高校卒業と同時に直ぐに出ていくつもりだ。
唯でさえ娯楽の無いこんな田舎、天気が悪ければさらに出来ることがない。
窓を打ち付ける雨と強風を睨む。ジメジメとして不快なのに窓も開けられない。
まったく受験勉強どころではない。
こんな部屋の中で汗を滲ませているより、よっぽど外で雨に打たれて強風を受けている方がましに思える。
バイクの鍵を引っ掴むと着の身着のままで飛び出した。
納屋でバイクにまたがり、エンジンをかけると待ってましたと威勢の良いエンジン音が響く。ギヤを入れてアクセルをひねると僕らは繰り出した。
全身に当たる雨粒が石礫のように痛い。落ちた枝を縫うように避けて山道を登る。
木々が襲い掛かるように揺れ、激流のように流れる曇天が僕らを押しつぶそうとする。僕らは挑むように山頂を目指す。
山頂に到着した時には、濡れていない場所が無いほどに濡れ、息が切れていた。
雨は止み、エンジンを切ると音少なげな世界へ変容している。
涼風が枝の雨粒を払い、幾重にも垂れこめた曇天が青空に覇権を譲っていく。
バイクに跨ったままでその自然の成り行きを見守る。
移ろう自然の美しさに身震いし、目の前で繰り広げられる光の円舞に言葉を失う。
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