洞窟内の様子

 ギン達はピトリの王宮より南に位置する洞窟に魔族がいる可能性があるという情報をピトリ女王ヴェイシャより得て、その洞窟を目指していた。


 やがてそれらしき洞窟が見えてくるとギンが一同に声をかける。


「みんなあれが例の洞窟じゃないのか?」


 ギンの呼びかけで一同が足を止めるとルルーがまず発言をする。


「そうね、周りを見渡しても洞窟らしいところはあそこくらいしかないわね」

「とりあえず、まずは私が中の様子を見て来ましょう」

「気をつけてね、魔族がいたらなにか罠を仕掛けているかもしれないから」

「それを確かめるのが私の役割ですから、それでは」


 そう言ってジエイはギン達より先行して魔族のいる可能性のある洞窟へと入っていく。


 ジエイが潜入し、戻って来るのを待っている間にギン達はとりあえず話し合いをしている。


「ルルー、長く待っていてもジエイが戻ってこなかったらどうする?」

「助けには行きたいけど、私達がまとめて敵の手に落ちたら意味はないし、難しい所ね」

「俺は救出にいくべきだと思う。もし俺達に何かあってもムルカ殿やウィルがいるし、公演が終わればヨナとミニルもピトリに来るはずだし、あいつらならなんとかしてくれるはずだ」


 ギンが自分達に何かあっても残りの仲間がきっと魔族との戦いに勝利すると信じている事を強調するなか、ジエイはその場に戻って来る。


「ご心配なく、私はそう簡単に罠などにはかかりませぬ」

「ジエイ!やっぱり何事もないように帰って来たな!」

「それで、洞窟はどうだったんですか?」


 ブライアンがジエイの帰還に感心している中、エイムがジエイに洞窟の様子を尋ねるとジエイは詳細について語り始める。


「やはりピトリ女王のおっしゃるように道は狭くあれでは大軍の派遣は挟撃をくらってしまいますね」

「そうなんですね」

「広い道に出ようと思ったら、そこには既に多くの魔物を配置しておりました。戦闘を行えばブリックらに気付かれるかもしれないと思ったので1度退くのが良いと思い戻りました」

「賢明な判断だな」


 ジエイより洞窟内の状況を説明されたギンは自分の考えを仲間に伝える。


「みんな、やはりリーザを救出するのは今をおいてないと思う。俺はこのまま洞窟に突入すべきだと思う」

「はい、私もそう思います。ピトリ女王を捕らえるのが難しいと分かればリーザさんだけで儀式を始めるかもしれません」

「今ならリーザを救出しつつ魔族の戦力も削れるぜ」

「そうね、みんなの言う通りね、突入しましょう。ジエイ、案内をお願い」

「無論です」


 遂にギン達はリーザ救出の為洞窟へと突入する。

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