明るい未来の為に

船の中で

 ブロッス帝国にリンド達が船で迎えに来たという知らせを受けたギン達はリンド達の待つ波止場まで向かい、船に乗って既に帝国から出港していた。


 船の上でリンドがウィルに声をかけていた。


「帝国と休戦したって事はこれであとは魔族だけって事ですね。もう平和は近づいてやすね」

「まあ、その魔族と戦う為に色々準備が必要なんだけどな、まだお前達にも働いてもらわねえとな」

「お安い御用でさあ、あいつらをどうにかしねえと俺達も商売がやりにくいですからね」


 ウィルとリンドが話をしている中、ヨナがルルーに話かける。


「ねえ、ルルーちょっといいかな?」

「私に、何かしら?」


 ルルーより返答されるとヨナが周囲を見て甲板から下がるよう促す。


「ここじゃあ、何だしちょっと下でいい?」

「え、ええ……」


 戸惑いながらもルルーがヨナと一緒に下がっていき、その様子にブライアンが声を発する。


「どうしたんだ、ヨナの奴?」

「ブライアンさん、ヨナだって女の子なんだしみんなに聞かれたくない話があるんじゃないんですか」


 ミニルがそう言うとブライアンは黙ることとし、そんなブライアン達をよそにヨナは自分の寝室にルルーを案内する。


「まあ座ってよ、多分ここなら大丈夫だから」

「どうしたの?そんなにみんなに聞かれたくない事なの?」

「あたしが、というより多分エイムがかな」

「エイムが?どういう事なの?」


 ルルーに尋ねられてヨナはルルーに対し質問をする。


「さっき、エイムと何を話していたのか、もし良かったら教えてもらっていいかな?」

「質問を返すようで悪いんだけど、どうしてそれが気になったかをまずは教えてもらっていいかしら」

「ええとね、ミニルが言っていたんだけど、もしかしたらエイムがギンの事を好きかもしれないって言ってたんだよ。それでちょっと気になって」

「エイムがギンを……正直言うと私もそうじゃないんじゃないかって思う事があったわ」


 ルルーの発言を聞いて意外だったのか少し大きな反応をする。


「うっそ、いやあたしそんな事ミニルに言われるまで考えた事もなかったよ」

「私も確証があったわけではなかったわ。だけど今考えるとそうでもおかしくない事は結構あったわ」

「そうなんだ、エイムはそっち方面がウブだし、まさかだよ」

「でもエイムは私達の誰よりもギンを理解していた、最初は彼女が偏見なく見れる子だからと思っていたけど、それだけではなかったわ」


 更にルルーは自らの考えを話す。


「エイムは常にギンに寄り添う姿勢を見せていた、彼の事を理解しようと努力していたわ。それってやっぱり彼の事を思っていたからじゃないかしら」

「ルルー、すごいね、ちゃんと良く見ているんだね」

「それにきっとギンだって、エイムの事をとても大事に思っているはずよ。お父さんに頼まれたからという義務感だけであそこまでエイムの為に必死になるとは思えないし、エイムの言葉に心が動くはずはないわ」


 ルルーもまた、ギンとエイムは互いをとても大事な存在であると考えていたことをヨナに話すのであった。

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