叫ぶ決意

ギンとプラナの説得を受け、魔導騎士団長トーラスは1つの答えを導き出し、その答えを自らの言葉として発した。


「私は逃げていただけかもしれない……」

「トーラス殿……」

「帝国の為、カイス様の為と自らに言い聞かせ、今すべきことから目をそらしていた」


 一瞬の溜めにトーラスは自らがどうするべきかを改めてギンやプラナに話した。


「これ以上、帝国は他国と戦うべきではない、再度の和平をしなくては」

「トーラス殿……」

「プラナ、私もカイス様と話してみよう、もはやこれ以上の戦争は無意味だと」

「トーラス殿、分かってくれたんですね」


 プラナがトーラスにようやく自身とギンの思いが通じたことを喜んでいるとトーラスが他の魔導騎士団に対して呼びかける。


「魔導騎士団に所属する将兵に告ぐ!私はこれよりプレツの者達と共にカイス陛下に対し、再度の反帝国同盟に加入している国家との休戦を進言するつもりだ!」

「トーラス様……」

「だが、これは帝国への反逆行為ともみなされかねん、私の思いに賛同できない者はいますぐ陛下の元へ馳せ参じるかこの場で私を斬ればいい!」

「トーラス様……此度の戦い我らも正直迷いを抱えておりました。ですが、トーラス様がそう決意なされたのなら我らもトーラス様と共にカイス陛下に進言します」


 部下が共にカイスに対して進言するという言葉を聞いたトーラスは更に部下に尋ね返す。


「いいのか?カイス陛下が私の進言を聞き入れて下さなければお前達も命を落とすことになるぞ」

「トーラス様を見殺しにし、我らだけ生き残るのは魔導騎士団の名折れです」

「お前達……分かった!だがせめてお前達だけでも助かるよう尽力はするぞ」


 魔導騎士団の面々もトーラスの考えに賛同し、カイスに対する進言の意志統一がなされようとしている時にエンビデスがトーラスに対して叫ぶ。


「トーラス!貴様は自分が何をしようとしているか分かっているのか?これは明らかに帝国に対する反逆行為だぞ」

「エンビデス宰相、私は彼らと手を取り合う事が結果的に帝国の為になると思います。反対派を抑えるのは苦労するでしょうが、他国との戦争を継続するよりはまだ被害を抑えられます!」

「お前がそう言うならば、お前も奴らもろとも始末しなければならんな」


 ギンとプラナの説得を受け、カイスに対して休戦案の進言をする決意をしたトーラスであったが、そこにエンビデスが立ち塞がり、トーラスもギン達とまとめて討伐することを宣言する。


 エンビデスを止めるのは言葉か力か?

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