女将軍の過去

 カイスの帝国即位に伴い、エンビデスやトーラスの立ち位置の変化をフィファーナより聞かされたギン達はフィファーナに声をかけ、フィファーナの部屋をあとにしようとしていた。


「色々教えてもらって助かったぞフィファーナ、感謝する」

「なあに、礼には及ばん。そち達も知っておったほうが役に立つじゃろうと思うてな」

「それじゃあ、俺達はこれで失礼するが、いいか?」

「ギン、そちに聞きたいことがあるからもう少しだけよいか」


 フィファーナがギンに聞きたいことがあると話し、ギンが応じる。


「俺に?何だ?」

「そちは妹であるプラナを本人が懇願した事とはいえ、帝国に連れていく事を了承した。その意味が分かっておるのか?」

「それはカイスの事か?プラナが辛い思いをするかもしれないとも思ったが、それでもあいつにも覚悟がある以上、俺には他に選択肢がなかった」

「覚悟か……かつては騎士であり、今でもその誇りは失われてはおらんが、それでもあ奴が女という事を忘れんで欲しい」


 フィファーナの発言に含みを感じたジエイがフィファーナに対し疑問をぶつける。


「プラナ殿の事で何か気になる事があるのですか?」

「そうじゃ、少し昔の話をしよう」


 フィファーナの言葉を聞いてルルーが尋ねる。


「プラナがカイスと会った頃の話ですか?」

「いや、わらわの話じゃ」

「フィファーナ将軍の?」


 フィファーナが突如自らの話をするとギン達に告げ、その話の内容を語りだす。


「わらわにはかつて将来を誓い合った男がおった。親、そして将軍時代のギガス陛下が仲を取り持ってくれたのじゃが、わらわもその男も互いを思っておった」


 フィファーナはかつて婚姻の約束をした男がいる事を語り、その男はギガスの仲介や親の薦めがあったものの、互いを思い合っていたというのだ。そして更に話を続ける。


「じゃが、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。そち達も知っておるあの事件がきっかけでな」

「あの事件?まさか、ギガスのボース転覆か?」

「そうじゃ、その男の父親も当初は陛下に味方しておったが、母親が王国に人質にとられやむなく王国に与した」


 フィファーナの発言に対してルルーが反応する。


「じゃあ、その男の人は……」

「戦争は陛下が指揮する反乱軍の勝利、王国軍に与した将はみな捕らえられた。その中にはその男も当然いた」


 かつてフィファーナが愛した男は図らずもフィファーナと敵対した。フィファーナが告げようとしている事とは?

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