新たなる情報

 ギン達はフィファーナの船に乗り、ブロッス帝国を目指していた。


 船に乗り込むとフィファーナより、ギン、ルルー、ジエイの3名を自らの部屋で話をしたいという懇願があり、ギン達3人は応じ、共にフィファーナの部屋へと向かう。


 そんな中、フィファーナがルルーに話しかけていた。


「娘よ、あの男とはいつもああいったやり取りをしているのか?」

「いつもではないんですけど、彼、結構軽口を叩くことが多いので珍しく気の利いたことを言ったのを褒めたら何故か怒ったのでこちらも軽く流しただけなんですけどね、まったく面倒ですね」

「ふむ、もしやあの男はそちの恋人か?」

「え?わ、私はミッツ教徒として修業の身です。恋人なんて……」


 ルルーの否定の言葉を聞いてフィファーナは思い出したかのように話を続ける。


「ミッツ教団にそのような戒律がある事は聞いたことがないが、まあ良い。ほれ、ここがわらわの部屋じゃ」


 フィファーナに促され、ギン達はフィファーナの部屋に入り、フィファーナが自ら3人分の椅子を用意しようとしてルルーが声をかける。


「あ、私もお手伝いします」

「そんなに気をつかわんでも良い、椅子が並んだら座ればよい」


 フィファーナが椅子を並べ終えるとギン達は順番に椅子に座り、ギンがフィファーナに尋ねる。


「それで、俺達に話したいこととは何だ?」

「ふむ、あれからの帝国とカイスに関する新たな情報を得たのでまずはそち達に話しておこうと思ってな」

「何だ?何が分かったんだ?」

「ふむ、どうやらカイスの奴、プレツやスールのような反帝国同盟に敵意を持っている国家と同盟を結んだそうじゃ」


 カイスの意外な同盟行動に思わずギンはフィファーナに尋ね直す。


「何故だ⁉ギガスの意思を継いだはずのカイスが何故他国と同盟を結ぶんだ?」

「今の帝国はギガス陛下の強力なカリスマと求心力で支えられておるわけではない。プレツやを中心とした反帝国同盟を仮想敵として結束を高める方法をカイスは取った。その為には反帝国同盟に加わらなかった国家と手を結ぶのが良いと判断したのじゃろう」

「カイスの奴……」


 カイスの行動に言葉が出ないギンであったが、ルルーにはある不安があり、言葉をもらす。


「そうなるといつ背後を突かれるか心配だわ」

「それぞれの国家ではプレツをはじめとする反帝国同盟には対抗できん、おそらく帝国の侵攻に合わせ軍事行動を起こすのじゃろう」

「結局はカイスを俺達で止めるしかないという事だな」

「そうじゃ、帝国の軍事力があてにならんと分かれば他の国も剣を収める他ないじゃろう」


 カイスが帝国結束の為に結んだ同盟、無力化の為にはカイスを止める他ない!

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