影響力

 ミッツ教団の教会で一晩休み、翌日にニリに向かう事をギン達が決めたその夜、途中で眠りが覚めたヨナは同室にいるはずのプラナがいないことに気付き、聖堂でプラナを発見し2人で話をしていた。


 そんな時ヨナが秘めた思いがあった事を打ち明けプラナが反応をする。


「グラッスの王様がヨナさんの初恋相手だという話は途中でフィファーナ将軍が帝国の事をお知らせするので話は流れましたが、やっぱり本当だったんですね」

「まあね、当然あたしは家の事もあって、王様には気持ちを伝えるわけにはいかなかったし、あの時はその家すら自分から捨てたも同然だったし」


 自らの思いをプラナに吐露するヨナは更にプラナがギンの妹として生きていく事を決めた時の自分の心情について打ち明ける。


「あの時、あんたがカイスへの恋心を打ち明けた時さ、もうあたしには帰る場所がなかったから、ギンが受け入れてくれるにも関わらずカイスへの思いを断ち切れず命を捨てようとしたあんたに思わず辛く当たっちゃってごめん」

「でも、それは私が自分の命を軽んじて……」

「違うよ、帰る場所もないあたしのただの八つ当たりだよ。すごくみっともなかったと思うよ」

「ヨナさん、でもヨナさんもそういう感情を自分で乗り切ったから私を受け入れてくれたんですよね」


 プラナの問いかけにヨナが返事をする。


「そうだね、カイスを止めるのにはきっとあんたの存在は大きいと思うから」

「そんな、ただ私は少しでも何かしたいだけでそんな大それたことは」

「いやいや、だってカイスは……」

「カイス様がどうしたんですか?」


 ヨナは思わずカイスもプラナを思っている事を言いそうになるが咄嗟に言葉を呑み込み、ごまかすように話を続ける。


「エ、エイムが言ってたじゃないか、トーラスやエンビデスも説得すればいいって、副官のトーラスや長く帝国を支えていたエンビデスの言葉ならカイスも聞くかもしれないし、それに魔導騎士団でもトーラスに次ぐ位置にいたあんたが加われば効果は大きいんじゃないかって話だよ」

「その、私にエンビデス宰相やトーラス殿程の影響力はないかもしれませんが、力は尽くしていきます」

「そ、その意気だよ。さ、そろそろ寝よう。エイムやミニルまで起こしたら悪いしさ」

「そうですね、じゃあお部屋に戻りましょうか」


 そう言って2人は客室に戻りそれぞれのベッドで再度の入眠をする。

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