後見と次なる道
グラッス国王マルスはトッポックス領主であったダリルの領主の任を解き、嫡子であるフランツへの継承を命じる。
更に幼いフランツの後見の話をしようとするが、その途中でヨナがマルスに声をかける。
「あの、ちょっといいですか⁉」
「ヨナ、どうしたのだ?」
「その、フランツの、弟の後見をあたしにさせてもらえませんか?」
ヨナの突然の発言にダリルは驚愕し、フランツやニーも驚いていた。
「ヨナ!一体⁉」
「姉上!」
「ヨナ様?」
更にウィルとミニルも突然のヨナの提案に複雑な思いを口にする。
「ヨナ、いや、でもあいつも家族と過ごせるし、これでいいんだよな……」
「そうね……少し寂しくなるけど仕方ないわね」
それぞれがヨナの発言に思いを馳せる中、マルスがヨナに尋ねる。
「どのような考えで申したか聞かせてもらえるか?」
「はい、あたしはトッポックス領主の娘でありながら、このグラッスやトッポックスの為に何もしてきませんでした」
ヨナの発言を聞いて、ダリルがヨナに対して言い放つ。
「何を言っておるのだヨナ!お前は傭兵としても領内を守ってくれたし、今回の件だってお前がいなければどうにもならなかったぞ!」
「ううん、それだって仲間が後押ししてくれたのがあったし、それに傭兵の立場じゃ依頼をこなすのは当たり前だよ」
ダリルに言い終えるのを確認するとマルスはヨナに対し話の続きを催促する。
「話の続きを聞かせてもらえるか?」
「はい、と、父がもう政治に口出しできないのなら義理とはいえ、姉であるあたしがするのが筋だと思いました。元々養女であるあたしには領主を継ぐ資格はないし、フランツが成人したらお家騒動を招かないようにこの国を去ります!」
更なるヨナの発言に一同は驚愕するがマルスはそこで意外な言葉を告げる。
「その必要はない!」
「え⁉」
「正直に言う。私はそなたにフランツの成人までの後見を任せるつもりでいた。まさか、そなたから申し出てくれるとは思わなかった」
「え⁉そ、それじゃあ、成人した後は?」
次の瞬間マルスはヨナに対し、考えを告げる。
「私に仕えて欲しい、そなたの今回の功績を考えれば、近衛兵としてもやっていけるはずだ」
「いいんですか?そのあたしが?」
「この者達もそなたの活躍を見ていたのだ異論はあるまい」
ヨナにとって、そしてグラッスやトッポックスにとって新たな1歩が踏み出されようとしていた。
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