射抜け!魔法の弓

ヨナの行動がグラッス国王マルスの心に火を点け、ついに奸臣であるガンシルを討つ決意を示す。その状況にうろたえるガンシルはレーデに指示を仰ぐ。


「あ、あのレーデ様、い、いかがなさいましょうか?」

「知るか、自分で始末をつけるのだな。もはやグラッスを裏から操るのは無理だな、私はこの場を去らせてもらうぞ」

「お、お待ちください。トッポックスを私に下さる代わりに例の物を探し出し献上するというお約束はよろしいのですか?」

「もはやそれがあるかどうかすら怪しいわ、何しろ貴様らはそれらしき物を見つけられなかったからな」


 ガンシルとレーデの会話にジエイが怪訝な表情で疑問を口にし、それにフィファーナが反応をする。


「例の物?」

「おそらく魔族にとって重要な物じゃろう、魔導騎士団の侵攻が失敗した後にそれらしき情報が入り、わらわ達が潜入したのじゃ」


 フィファーナが潜入の理由をジエイに話しているとレーデは遂に逃走準備を始める。


「私はこの状況をひとまずブリック様に説明しなければならない、さらばだ」


 レーデの逃走する素振りを見てジエイが短剣を放つ。


「逃がさん!」

「ぐはっ!」


 ジエイの短剣がレーデに命中し、レーデの動きは止まり、更にフィファーナが風の魔法を扇で放ち、風がレーデの身体を切り裂く。


「ぐわあああ!」


 次から次へと攻撃を受け続けるレーデはもはや満身創痍だ、そのレーデにヨナが弓を向けて言い放つ。


「この国を荒らした罪はあんたの命で償いな!」


 ヨナがそう言うと魔法の弓から矢を放ち、レーデの肉体を射抜く。


「があああっ!お……のれ……」


 ヨナ達の攻撃でレーデは絶命した。その状況に怯えたガンシルは逃走を試みるがあっさりウィルとミニルに先回りされる。


「逃がさねえよおっさん、あんたもきっちり罰を受けねえとな」

「そうよ、そもそもあなたが魔物と取引なんてしなければこんな事にはならなかったのよ」

「くっ……」


 ウィルとミニルに追い詰められうろたえているガンシルにマルスが近衛兵と共に近づき、ガンシルに問いかける。


「ガンシルよ、お前の身柄をひとまず拘束させてもらう。だがその前に質問に答えてもらうぞ」

「……はい」

「何を献上する約束をした答えよ?」

「魔導具と言っていました。それもただの魔導具ではなく強力な魔力が込めらている魔導具だと」


 魔導具を献上するとレーデに約束したガンシル。その魔導具の正体とは?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る