久しぶりの手料理
ミニルやジエイ達がヨナに雇われている私兵でないことに気付いたことをニーはミニルに告げ、更に私兵と偽ってまでヨナに協力してくれたことに感謝の弁を述べていた。
そして料理が完成すると居間で過ごすヨナ達と待機中の兵達にニーとミニル、そして傭兵達は配膳をしようとしていた。その配膳の割り振りをニーがミニルに説明していた。
「じゃあ私は兵士の方達に傭兵さん達と一緒に配ってくるので、お嬢さんはヨナ様達にお願いしますね」
「はい」
それぞれが料理を載せたワゴンを運んで目的の場所まで行く。
ミニルはヨナ達がいる居間まで来て声をかける。
「みんな、食事持ってきたわよ」
最初に声をあげたのはウィルであり、料理を目にすると喜びをあらわにする。
「待ってました!もう俺、腹減ってたんだよなー」
「ニーの手料理なんて久しぶりだよ。こんな形だけど、また食べられる日が来るなんて」
ウィルがようやく食事にありつけたことに喜んでいて、ミニルがニーの料理を食べられることへの喜びをかみしめていると、ミニルがジエイに声をかけている。
「ジエイさん、その、ごめんなさい」
「いきなりどうしたのですか?」
「あの、ニーさんが私達がヨナの私兵ではないんじゃないかって言って、思わず私、本当の事を言いました」
ニーから問われて思わず本当の事を言ってしまったことを打ち明けたミニルであったが、その事についてウィルから厳しい言葉を浴びせられる。
「何やってんだよミニル!折角の作戦が無駄になっちまうじゃないか!」
「だ、だって、なんかニーさんをだましているみたいでその、気が引けたのよ……」
「まあ。お2人共落ち着いてくだされ」
「だけどよジエイ、お前が折角いい作戦を考えてくれたのにおじゃんになっちまうぜ」
ウィルの発言を聞いてジエイは返答をする。
「そもそも我々が私兵というのはどちらかというと敵に対する喧伝とプレツやスールがこの件と無関係であることを示す為なのです」
「それはそうだけどさ、せめて作戦が終わるまでは俺達だけの秘密にしていた方が良かったんじゃないか?」
「ミニル殿、その事実を聞いてニー殿は何かおっしゃっていませんでしたか?」
ジエイの質問にミニルが答える。
「私達がその、命がけでヨナに協力していることにお礼を言ってくれました」
「結果的にではありますが、本当の事を話したことでニー殿は我らの事を信用してくれていそうなので、ウィル殿、これは大目に見ても良いのでは?」
「なんか、ミニルに甘いような気もするけど、仕方ねえか。悪かったなミニル」
ウィルから謝罪の言葉を受けたミニルであったが、どこか唖然としており思わずウィルがミニルに尋ねる。
「どうしたんだミニル?まさか怒っているのか?」
「いや、兄さんが素直に謝るから雪でも降らないか心配になって」
「何だよそりゃ!俺だって自分が悪いと思ったら謝るっつーの!」
ニーの信頼を得られたと確信したジエイの言葉に2人の兄妹は久々に穏やかな兄妹ケンカをしてその場を和ませていた。
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