キッチンでの会話
ヨナ達に対し料理をふるまうと宣言をしたニーは早速キッチンでミニルや傭兵達と共に、調理を開始していた。
調理の合間にニーはミニルと話をしていた。
「ところでお嬢さん、あなたは本当に傭兵なんですか?あまりそういう風には見えませんが」
「も、もちろんですよ。私も屈強な男に負けないくらい強いんですから」
「フフフ、無理しなくていいんですよ。あなたは、いえ他の方も本当はヨナ様に雇われていないんでしょう?」
「え、いやいや、そんな事ありませんよ」
なんとかごまかそうとするミニルにニーは更に言葉を続ける。
「まず、あなたがヨナ様への話しかけ方がまるでご友人に話すようなところを不自然にかしこまったように私には見えましたよ」
「え、ええっと……」
「それにヨナ様は元々ならず者を中心に自分の傭兵団に引き入れていました。あなたのような可愛らしいお嬢さんを引き入れるとは私には思えません」
「え、か、可愛い?私がですか」
ミニルの表情が少し緩むとニーがその表情を見て確信する。
「ほら、その表情、きっとヨナ様ならご自分で引き入れた傭兵がそんな顔をするのはきっと許しませんよ」
「あ、ごめんなさい、その私達は私兵として偽る事情があったんです」
「そうでしたか、確かにあなたとあなたに雰囲気の似た男の人、そして静かにたたずんでいる男の人はグラッスの人ではなさそうでしたね」
「はい、私と兄はプレツ出身で、もう1人はジエイさんっていうんですけど、あの人はスールの出身なんです」
ミニルの説明に合点がいったニーは納得の発言をする。
「やはりそうでしたか、そこまでしてヨナ様に協力して下さり、ありがとうございます」
「いえ、あのままじゃヨナさんと傭兵の人達だけでグラッスを止めようとしていたので、私達も見過ごせなかったんです」
「見過ごせなかった?」
「はい、彼女達は私達にとって仲間ですから。事情があって作戦に参加はできない仲間もいますが、その人達もヨナさんの身を案じています」
ミニルの話を聞いてニーは感激の言葉をミニルに対して述べる。
「ヨナ様をこれ程大切に思ってくださる方がいて、とてもうれしいです。ありがとうございます」
「いえ、ニーさんだってヨナさんのことを大切に思っているじゃないですか」
「私もダリル様と同じで奥方様に逆らえずヨナ様の為に何もできませんでした。でもあなた方はこうして命がけでヨナ様の為に戦ってくれています」
ヨナの為に命をかける者がいる。それはニーにとっても喜ばしいことであった。
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