既にグラッスがブロッス帝国内のカイスに反発する勢力と通じていた事実をヨナ達は知り、ジエイは一刻も早くヨナの正当性を主張する為にトッポックス領の屋敷の奪還をヨナに提案する。

　ジエイの案にヨナは自らの考えを述べる。

「ジエイ、あんたの言うように屋敷を奪還したとしてもトッポックスの兵だけでグラッス全土と戦うのは無謀じゃないかな」

「ですが我らが同行しなければあなた方だけでそれをしてたでしょう、それなら我々が加わった方が成功の確率は上がるでしょう」

「そ、それは確かにそうだけど、何か作戦があるの？」

「この作戦は国王にしっかりと権限を戻し、帝国との休戦に動いてもらうのが目的です」

　ジエイの言葉に今一つピンとこず、ヨナは具体的な説明を求める。

「それって具体的にはどうすればいいの？」

「屋敷奪還後に大義名分とヨナ殿の正当性を掲げ、そのまま王宮まで向かい、国王を救出すると宣言するのです」

「それで？」

「側近を排除し、国王に休戦に向けて動いてもらうのです。グラッス側が矛を収めれば帝国の領主も動きようがありませんから」

　ジエイの考えに感心し、ジエイ達に礼を述べるが、ヨナは少しばかり心苦しそうに話す。

「ジエイ、すごいねあんたそこまで考えていたなんて、それからジエイ、ウィル、ミニルここまで来てくれてありがとう」

「ヨナ殿。いえ、我らとしても帝国とグラッスの衝突は避けねばなりませんからね」

「そうじゃなくてさ、あたし達だけじゃそんなことを考えつかなかったし、つくづく自分が何も考えてなかったと思うよ、こんなあたしが旗頭なんかでいいのかな……」

「ヨナ殿、もちろん単なるお飾りでは困りますが、ヨナ殿にはあの傭兵達をまとめ上げる求心力があります。我らはその求心力に力を加えるのみです」

　ジエイの言葉に続けてウィルとミニルも自らの考えを話す。

「そうだぜ、ヨナ、今回は自慢の傭兵を俺に預からしてくれ、あいつらを上手く指揮してやるからよ」

「私は兄さんやジエイさんみたいに前面での戦いは苦手だけど、あなたを守ってみせるわ」

「ウィル、ミニル、あんたらまでそう言うならやるっきゃないね」

　ヨナが決意を口にすると、ジエイがヨナに声をかける。

「ではヨナ殿、早速屋敷まで参りましょう」

「もちろんだよ、それでどこから潜入するの？」

「いえ、正面突破です」

　正面突破を主張するジエイ、その狙いと目的とは？

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