正面突破と口上
トッポックス領主の屋敷を奪還する為、ジエイが主張する作戦は意外にも正面突破であった。さすがにヨナも想像していなかったのか、思わず尋ね返す。
「しょ、正面突破⁉ジエイ、あんたそれ本気で言ってんの?」
「無論です」
ジエイの発言はウィルも信じられず、ジエイに質問をする。
「俺達の戦力で正面から屋敷を奪還するのか?さすがに無謀なんじゃねえのか」
「私はそう思いません、我らは数で劣りながらもブロッス帝国に勝ち、休戦までこぎつけたのです」
「それはギンやエイムがいたから、あのギガスに勝てたんだろう」
「少なくとも、トッポックスの屋敷にいる戦力が帝国どころか魔導騎士団や他の将軍の指揮する部隊程の力はないでしょう。ですがもちろん策はあります。その説明をしましょう」
そして、ジエイはヨナ達に屋敷奪還作戦の説明を始める。
「分かった、それじゃあいくよ」
ジエイの作戦説明を聞いたヨナ達は、トッポックス領主の屋敷へと向かう。
そのトッポックス領主の屋敷では代官と言われる身分の者が政務を行っていた。
領地そのものはグラッスの直轄地ではあるが、国王直属の代官に管理が委ねられている。
そして現在、トッポックスの住民が疲弊しているのはこの代官による中間搾取が行われており、余分に税を徴収しているというのが実情なのだ。
その代官に部下より報告が入る。
「失礼します!」
「何だ騒々しい、わしは今忙しいのだぞ」
「それが、武装した集団がこちらに迫っております」
「何だと、早く迎撃してこい!」
代官が部下に迎撃命令を出している頃、屋敷の外ではとある叫びが聞こえていた。
「やいやい、グラッスの国王陛下を欺く、奸臣の犬どもめ、トッポックス領主ダリル様のご息女ヨナ様の名において、お前達を今から俺達が成敗してやる!」
この口上を述べていたのはウィルであり、屋敷にいた兵に反論をされる。
「我らが奸臣の犬だと⁉大体、グラッスに反逆を考えたのがトッポックス領主ではないか!」
「てめえらの親分がそうし向けたんだろう、それが白日の下にさらされれば、お前達も生きてはいけないぜ!」
「というか、貴様は一体何者だ⁉」
「俺か、俺達はヨナ様に雇われている私兵だ、ヨナ様のご命令とあればお前達を痛い目にあわせてやるぜ」
ウィルの口上を聞いてヨナがミニルに小声で話しかける。
「なんか、あいつノリノリだね」
「兄さん、こういうの好きだから」
「まあ、あたしにとっては都合がいいけどね」
屋敷奪還の為についに激闘の時だ。
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