波乱の幕開け
ギン達が孤児院よりスップの教会に戻り、仲間同士の談笑を楽しんでいる中、突如ミッツ教徒がスール国王よりジエイ宛の文を届けに現れ、ジエイに声をかける。
「ジエイ殿、あなた様宛にスール国王より文が届いております」
「私に?では拝見しましょう」
そう言ってジエイが文を読もうとするが、その際にルルーに声をかけられる。
「あ、ジエイ、良かったら隣の部屋を使って。私達が文の内容を見るわけにはいかないから」
「かたじけない、そうさせて頂きます」
ジエイはそう言うと隣の部屋へと移動をし、部屋の中で文を読む。
ジエイが部屋に入室すると、ブライアンが言葉を発する。
「しかし、このタイミングでジエイに文とはな、一体何を知らせたいんだ?」
ブライアンの疑問にギンが自らの考えを話す。
「もしかしたら、帰還命令かもしれないな」
「帰還命令?」
「ジエイは元々同盟国としてスール王の命令で俺達に協力していたんだ。一応休戦が成立した以上、魔族との戦いに備えジエイに帰還してもらいたいのは当然だろう」
ギンの考えを聞いてエイムがギンに尋ねる。
「それじゃあ、ジエイさんとはお別れですか?」
「例えジエイが帰国したとしても会えなくなるわけではない、各国も魔族対策が必要だからな」
ギン達が会話をしていると、ジエイは大聖堂に神妙な面持ちで戻って来て、そのジエイの表情を見てルルーが気になって尋ねる。
「ジエイ、どうしたの?まさかスールで何か……」
「いえ、スールではないのですが、皆さんにもお伝えしなくてはいけないので、この場で読み上げます」
そう言うとジエイはスール国王よりの文をギン達の前で読み上げる。
『ジエイよ、密かに密偵の者にグラッスを探らせておる間に、帝国との休戦の話が我が元にも届いた。無論わしもこのまま帝国と争うことは不毛だと判断し、休戦を受け入れることとした。だがその直後に思わぬ報が届いた、なんとグラッスが帝国との戦争の準備をはじめていたようだ。反帝国同盟を結んでいる間柄ではあるが、それはあくまで我らも帝国と戦う前提の同盟だ。すでに休戦を結んでしまったため、我らがこの戦いに介入することはできん。プレツの特使殿と行動をしているお前には知らせておく必要があると思ったので筆をしたためた』
ジエイが文を読み終えるとヨナがまず疑問を抱いた点を尋ねる。
「ねえ、ジエイどうしてスールはグラッスを探っていたの?」
「ムルカ殿やルルー殿が同盟交渉をしている時の側近の国王に対する態度が不可解だと陛下に報告し、陛下が調査の必要があると判断したのです」
遂に反帝国同盟を結んだグラッスが帝国に対し反攻に出ようとしていた。この戦いを止める術はあるのか?
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