ニリへの到着

 帝国領から離れたギン達の船はプレツの港町であるニリへと到着しようとしていた。


 ニリが見えてくるとウィルが一同に声をかける。


「おーーーい!みんな、ニリが見えてきたぞ!」


 ウィルの声を聞いて一同がニリの港町が見える方向を向いて、ルルーがウィルとミニルに声をかける。


「ねえ、私達はスップの教会に戻ることになるけど、ウィルとミニルはこのまま1度実家へ戻って、久々にご両親に顔を見せてあげたら?」


 ルルーの言葉に1度ウィルとミニルは目を合わせて、互いに頷きあい、まずウィルがルルーに対し、言葉を発する。


「いえ、俺達もこのままスップへ向かいます」

「私も兄と同じ意見です。私達も皆さんと一緒に今後の事を話したいと思います」


 ルルーに実家に戻ることを勧められるが、ウィル達はそれを断り、自分達も同行すると宣言をする。


 その言葉を聞いて、ヨナがウィル達に言葉を発する。


「いやーー、あんた達たくましくなったね。今のあんた達を観たらご両親は大喜びだよ、きっと」


 ヨナの言葉を聞いて、ウィルが返答をする。


「なんでそこでお前が俺達の成長を見守りました感を出しているんだよ?」

「いや、素人同然のあんたらが、あんな激しい戦いを経ておうちに帰りたいじゃなくて、今後の事を話したいっていうのに感心したんだよ」

「素人って言うけど、帝国をあそこまで追い詰めたのは俺達以外いないはずだぜ」

「それが自信になったてことだろ」


 ウィルとヨナがやり取りをしている中。エイムがギンに声をかけている。


「ギンさん、久しぶりにプラナさんに会えますし、ゆっくり話せるといいですね」

「だけど、プラナに主君だったギガスの死と今、カイスが帝国をまとめなくてはいけない事を話さなくてはいけない」

「そうですね、ギガス皇帝がお亡くなりになったこととカイスさんが辛い立場にいるのを話すのは辛いですよね」

「それでもプラナには知る権利があるし、知らなくてはならないだろう」


 ギンはプラナにギガスの死、そして混迷する帝国をカイスがまとめ上げようとしていることを話さなくてはならないと思い、あまり気分が上がらないが、プラナは知らなくてはいけないと考えている。


「それに、いつかは知る事だし、もしかしたらもう知っているかもしれない」

「きっとプラナさんは私達より何もできないのが辛いですよね」


 ギンとエイムが話しているとヨナが口を挟む。


「帝国にいた頃はカイスの為に戦えても、今は何もできないから辛いと思うよ」

「ヨナさん……」

「だけど信じて待つことも大事だよ。命をかけられるほど惚れた男なんだから」


 ヨナの言葉を聞き、プラナにとってのカイスはとても大事な存在であると同時に、自身にとっても信じるに値する者だと改めて実感するのであった。

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