帝王の言葉

 ルホール地方領主ルドルフとその息子ルードにより激しい抗議を受けるカイス。


 そんな時、ギン達との話し合いを終えたギガスが大広間に現れ、状況の説明を求める。


「この騒ぎの原因は一体どうしたのだ?誰か説明を願おう」

「陛下、このルドルフ、陛下の戦いに加勢すべく参上しました。ですがカイス団長が先走り彼らと戦闘を行い、陛下が彼らと話し合おうとした御意思を無下にしたことに対し我らは抗議をしていたのでございます」


 ルドルフのギガスに対する発言を聞いたヨナがぼそっと呟き、それに対しジエイが反応をする。


「よく言うよ、自分のプライドを傷つけられたことを怒ってたくせにさ」

「ヨナ殿」

「まあ、皇帝さんは事情を分かっているし、どう言いくるめるんだろうね」


 ルドルフの言葉を聞いたギガスがルドルフに対し返答をする。


「そうであったか、忠義は感謝する」

「はっ!もったいなきお言葉恐悦至極に存じます」

「だが、カイスが戦闘行為を行ったのはこちらに非があるのだ」

「え?それはどういうことでございますか?」


 ルドルフの抱いた疑問に対しギガスが返事を返す。


「余はこの者達との話し合いを望んでいたが、カイスの帰還のタイミングと上手く合わずに行き違いがあった。そんな折我らが帝国民が彼らに対し危害を加えようとしたのだ」

「何ですと⁉」

「その際に彼らは自衛手段として民に軽いケガを負わしたのだ。カイスには民に危害を加えたという情報しか伝わらず、やむなく戦闘行為に及んだのだ」


 ギガスの言葉を黙って聞いているルドルフであったが、その話を聞いたルードはカイスに声をかけている。


「カイス殿、何故それを我らにおっしゃって下さらなかったのですか?」

「理由はどうあれ、私は陛下の御意思を無下にした。何を言ったところで言い訳にしか聞こえんと思った」

「いえ、私も同じ立場ならあなたと同じ事をしていた。それは民を守る軍人として、そして領地を治める者として当然の事です」

「すまぬ、ルード殿、貴殿にはもう1つ伝えねばならんことがある」


 少し緊張しているのか息を整えてからカイスはルードに対し言葉を発する。


「気休めにしかならんかもしれんが、プラナは生きている。そうピリカ殿にも伝えて欲しい」

「それは誠なのですか?そうだとして一体どちらへ?」

「あのギンという剣士が彼女の生き別れの兄で、自らの意思で兄の元へと戻ったのだ」


 ルードはギンの姿を目にしてギンの元へと接近する。


 ルードがギンに発する言葉は恨み言なのか?それとも……。

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