守られし技
エンビデスは密かにギンに関する調査をしており、得た情報を繋ぎ合わせると共にギンの力を自ら目にしたことでギンがかつて邪龍を退治した剣士と魔導士の子孫である事にエンビデスは確信を得た事をギン達に伝える。
その一方でかつてギンを襲撃した剣士は魔族の差し金の恐れがあると推測し、ギンにそう発する。
「俺が戦ったその剣士は確かに人間だった。魔族が人間を利用しているというのか?」
「あり得ぬ話ではない。もしかしたら人間に姿を偽装し、金品等をちらつかせお前を襲わせたかもしれない」
「だが俺達が交戦した魔族は俺の事を知っているようには見えなかった。一体どうなっているんだ?」
「魔族といってもまだ一枚岩ではないかもしれぬ。互いに情報を共有できていない。あるいは手柄争いのようなものをしているかもしれぬな」
ギンとエンビデスのやりとりを聞いて、ルルーがなにかを思い出し、言葉を発する。
「確か、以前戦ったピッキーは私達が戦ったブリックの事を知っていたわ。おそらくはブリックの方もピッキーを知っているはずよ」
「そしてピッキーは仲間という言葉も否定しなかったな」
「連絡は難しくても彼らに仲間意識みたいなものもあるかもしれないわ」
ルルーの言葉にエンビデスは危機感を高める。
「奴らがさらに徒党を組めば各個撃破は難しくなるな。陛下!」
「やはり余の判断は間違いではないな、エンビデス、早急に各国への使者の手配と軍勢を全軍本国に帰還させるぞ」
「はっ!」
エンビデスがギガスの命令に応じると、ギンがエンビデスに更に尋ねる。
「エンビデス、さっき俺が魔法剣を習得するのは必然と言ったが、ブレイクは俺が魔法剣を習得する可能性があると分かっていたという事か?」
「そう考える他あるまい。他に兄弟がいたにも関わらずお前にのみ剣と魔法の修行をさせたのがその証ではないか」
「だが俺の家にはそもそも魔法剣に関する書物はなかったはずだ」
「
エンビデスの言葉でギンはあることを察した。
「まさか、ブレイクの家系には……」
「元々魔法剣は魔導士の姉の発案だ。何かしら、理論化されたものが残っていても不思議ではない」
「それを先祖代々守ってきたわけか」
「それを身につけるべき器の者が誕生するのを待ちながらな」
かつて魔法剣で邪龍は倒された。形は変わりながらも、今魔法剣を習得したギンは世界を呑み込もうとする魔族へと立ち向かおうとしていた。
そしてその技術を守って来たものの思いをもギンは知り、更なる決意を強める。
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