魔法戦士ギン

帝都へ

　ギン達がブロッス帝国の軍港に入ろうとしている頃、魔導騎士団はどうにか帝都までたどり着き、城門に近づくと、守備兵を指揮している騎士に声をかけられる。

「お帰りなさいませ、カイス様。トーラス様もご無事でしたか、ん？カイス様、プラナ様はいかがなされましたか？」

　騎士の質問に対し、トーラスが窮するが、カイスが返答をする。

「それは……」

「隠す必要はあるまい。騎士プラナは名誉の死を遂げた。だが敵の邪魔が入り遺体の回収をし損ねた」

「そうだったのですか……」

　カイスは話題を切り替えて、迎撃の準備の指示を騎士に出す。

「それよりも、迎撃準備を急げ、例の魔法剣を使う剣士の一行が追い付いてくるやもしれぬ」

「はっ！」

「陛下にもこの状況をご報告せよ」

「はっ！」

　魔導騎士団の面々はできうる限り戦力を動員して、すぐに来るであろうギン達の迎撃準備をしている。

　そんな中カイスがトーラスに話しかけている。

「トーラス、ここまで奴らを呼び込んでしまったのは私の責だ。なんとしても奴らは、ギンは私の手で討ち果たす」

「カイス様、あの時、カイス様が下した判断は間違いないと思います」

「何？」

「敵でない者を斬っては、その瞬間我らは戦う大義を失います」

　トーラスは戦う大義が必要であることを語り、更に語りを続ける。

「それでは我らはただの侵略者と変わりません。カイス様がいつも我らにおっしゃっているではないですか」

「ふっ、まさかお前に諭されるとは私もとうとうヤキが回ったか」

「私はカイス様の副官ですから、プラナがいなくなった分も力にならなければ」

「頼むぞトーラス」

「はっ！」

　斥候らしき男がカイスの元に戻り、カイスに現状の報告をする。

「カイス様、奴らがもうじきこちらに近づいてきます」

「ついに来たか」

「それから、やはりカイス様のおっしゃる通り、奴らは城下の街を素通りしていきました」

「やはり、奴らは略奪を行わなかったか。敵ながら見事」

　ギン達が城下で略奪行為をしないことを予期し、あえて街中に守備兵を配置せず、民衆には避難を呼び掛けていたのだ。

「ですが、一部の民衆は奴らに攻撃をして、返り討ちにあいましたが軽いケガですんでおります」

「気の毒だが、それですんで良しだな。少なくとも奴らがすすんで攻撃したわけではないからな」

　カイスと斥候がやり取りをしている中、ようやくそこにギン達が到着する。馬車は使用せず移動してきたようだ。

「来たなギン、今度こそ貴様らを討ち果たしてくれる」

「カイス……」

再度相対する、ギン達とカイス率いる魔導騎士団、遂に決戦の時だ。