思いの方向

 ギンが持っていた両親から託されたペンダントから両親の思いを読み込んだエイムはその思いが込められた魔法をプラナに放つことに成功する。


 その魔法を受けたプラナは様々な映像が脳内に流れ込み、一時外からの情報が遮断されるが、意識が再び外に向いた時にエイムよりギンの持っていたペンダントを示され反応を示す。


「な、何故貴様がそれを⁉」


 驚愕したプラナは自らもペンダントをエイムに見せる。その状況にカイスが驚きを隠せない。


「何故だ?あれ程のペンダントは一般の市には出回っていないはず、プラナと彼女が同じものを持っているなど偶然にしてはでき過ぎている」


 カイスが驚く中、エイムはプラナに対し更に言葉を続ける。


「このペンダントはギンさんが私に預けてくれました。さっきの魔法をあなたにかける為に」

「何⁉」


 驚きながらもプラナはギンの方に目をやる。何故ギンがそのペンダントを持っていたのかと疑問に抱きながら。


「あなたとギンさんは幼い頃に生き別れになった兄妹なんです」

「バカな⁉そのペンダントだけでそんなことが……」

「それだけではありません、さっきあなたが見た光景であなた自身も感じたはずです」


 エイムの言葉を聞いて黙るが、確かにプラナは魔法で見た光景に懐かしさを覚えていた。赤ん坊の僅かな時とはいえ、その場所で過ごしたからだ。


 エイムの魔法が作用したことでプラナにとっても否定するのは難しかった。


「あなたが見た男の人と女の人はあなたのご両親で、小さい子供達はあなたのお兄さん達です。一番小さい子供はここにいるギンさんです」


 エイムが話し終えるとギンがプラナに声をかける。


「プラナ、両親も2人の兄も亡くし、育ての親も死んでからの俺はずっと1人だった。だがこうやってお前と会うことができた、だから……」


 ギンが言葉を言い終える前にプラナが突如笑い出す。


「フフフ、ハハハハ、そうかお前が私の兄だったとはな、ならばやはり死んでもらおう!」


 突如目を見開き、ギンの命を奪う宣言をするプラナ。その意味が理解できず、ルルーが尋ねる。


「ちょっと待って!どうしてそこでギンを殺すなんて言葉が出てくるの?あなたにとって彼は唯一の肉親のはずよ」

「だからだ!生みの両親は自らの保身の為に私を他の家に追いやった。この男も同罪であろう。それにこの男はバンス将軍の命を奪った!許してはおけぬ!」

「あなたが他家に養子に出されたのはギンのせいではないわ。バンス将軍のことにしたって戦争の中で起きた事よ」

「黙れ!もはや私にとってはこの男は命を奪わねばならんのだ」


 エイムの魔法も虚しく、プラナはギンへの憎しみを更に強めてしまう。ギンはプラナの憎しみをどう受け止めるのか?

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