謎の砦

ピトリの王都よりギン達はピトリに向けての出発の準備をしていた。ピトリから再び船に乗り帝国の本国を目指すことになったのだ。


 馬車の出発準備ができたので、全員が乗り込み出発した。


 ループの馬車をギンが御し、エイム、ブライアン、ルルー、ムルカが乗る。


 ゲンジの馬車をヨナが御し、ジエイ、ウィル、ミニルと傭兵団が乗る。


 ループの馬車内でブライアンが一同に声をかけている。


「いよいよ敵の本拠地に乗り込むってわけで、これで帝国とも決着ってわけか」


 ブライアンの発言に対しルルーが言葉を返す。


「そうね、一応、休戦の話も視野に入れてはいるけど、帝国との決着が主目的ね」

「これで戦争が終わるんだな」

「少なくとも私達と帝国の戦争はね、それに例え帝国との戦争が終わっても魔族とは戦わなくちゃいけないし」

「まだまだ俺達も頑張らねえとな」


 ブライアンとルルーがやり取りをしている横でムルカがエイムに声をかけている。


「エイム殿、貴殿にとっては色んなことがあったが、大丈夫なのか?」

「お気遣いありがとうございますムルカ様、でもここにいるのは私が自分で選んだことですから」

「そうか、ならば私からはもう何も言うまい。頼りにしておるぞ」

「はい、皆さんの足を引っ張らないようにします」


 一同がやり取りをしている中、ギンが馬車を止める。それに追随し、ヨナも馬車を止める。


 馬車が止まるとルルーがギンに声をかける。


「どうしたのギン?」


 ルルーに声をかけられるとギンは前方を見るよう促す。


「あれを見てみろ」


 ギンが促した先には小さいが無数の砦のようなものが存在し、ルルーが疑問をおぼえる。


「砦⁉でもおかしいわね、私達が前にここを通ったときはこんな砦なんて無かったはずなのに」


 ルルーが疑問を抱いていると、何かを察したジエイが短剣を投げる。


「ジエイ⁉」


 驚くギンとルルーに対し、ジエイが短剣を投げた先を見るよう促す。


「ギン殿、ルルー殿、あれをご覧ください」


 ギン達がジエイの促した先を見ると、そこには矢が存在していた。


 そんな中、砦より何者かが言葉を発する。


「くそ、気付いたか」


 砦にいる兵士を見てギン達もある事実に気付く。


「ブロッス帝国か、しかし奴らは何故ここに砦を建設したんだ?」

「ピトリとは魔族関係で協力している仲ですから、おそらく我々の足止めが目的でしょう」


 ジエイの言葉を聞いて、ルルーが返答をする。


「私達を止めるだけの為に砦を建設するなんて、帝国はこれ以上私達を無視できない存在と見ているのね」


 砦を建設してまでギン達を足止めする為に戦うブロッス帝国、引くに引けない戦いが始まる。

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