救出に向けて

 ブロッス帝国魔導騎士団の一員であるプラナ、そして魔導師団の一員であるアビィにエイムを連れ去られたことを一同に謝罪するギン。そのギンに対し自らにも責はあると話すルルー。その2人に対しブライアンが声をかける。


「2人共、落ち込んでいる暇はねえぜ、早くエイムを助けに行かねえと」


 ブライアンの言葉を受け、ムルカが言葉を発する。


「ブライアン殿の言う通りだ。帝国の本国まで連れていかれては救出は困難になる」


 ムルカが救出困難になる前に助けに行くことを訴えると、ジエイが一同に提案をした。


「とりあえず私は帝国軍の移動した足取りを追ってみます」

「頼むぞ、ジエイ殿」


 ムルカとジエイの会話を聞いて、ヨナも自分の行動を申し出る。


「じゃあさ、あたしらは街の人にあいつらの目撃情報を聞いて見るよ。あんだけ人数がいたし、なんとなくの方向は掴めるかも知んないじゃん」

「では、それはヨナ殿達にお任せします。方向が分かればそこから私が追いましょう」


 ヨナとジエイがやり取りをしているとウィルとミニルも協力を申し出る。


「俺も聞き込みに加わる」

「私も」

「それじゃあ手分けしていくよ」


 こうしてヨナ、ウィル、ミニルは傭兵団と共に街の住民に聞き込みに行った。


 残りの面々はその場に留まり、報告を待つとすることになったが、ブライアンから疑問が生まれる。


「ムルカの旦那、こんなにちまちましてことをしてて大丈夫なのか?」

「やみくもに動いても徒労に終わる可能性が高い。大部隊は動かせなくとも行動の為の拠点は用意している可能性が高い。敵の行動する方角をある程度把握している方が追いやすいであろう」


 ムルカとブライアンが会話をしているとルルーは疑問を抱いた部分をギンに話していた。


「ねえギン、今まで私達は帝国と戦ってきたけど、今回の行動は今までの帝国の行動とはなにか違和感があるわ」

「俺もだ、今まで奴らは武力併合を目的として、結果俺達との戦いになった。それが今回はエイム自身を狙ってきた」

「ええ、それも目的が殺すことじゃなくて捕らえるってことは、帝国にとってエイムが何かに必要って事じゃないかと私は思うの」


 ルルーの話を聞き、ギンは意を決しエイムの出自について話をする。


「みんな、本当はエイムにまず打ち明けるべきだったんだが聞いてくれ」

「何?」


 ギンは、エイムの育ての父であるトールより聞かされていた、赤ん坊のエイムをトールとアンリの夫婦が拾った事、近くではボース国の襲撃があったこと、このことからトールはエイムはボース関係者の子ではないかという話を今この場にいる者達に話す。


エイムの過去と帝国、それはどう繋がるのか?

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